「自分は大したことない」
そう思ったことはありませんか?
- 他の人と比べて、自分には才能がない
- 信仰生活も中途半端で、神に喜ばれていない
- 教会で奉仕しても、たいした貢献ができていない
- もっと完璧にならなければ、神に用いられない
もしあなたがそう感じているなら、この記事はあなたのために書かれました。
前回の記事で、私たちは創世記19章からマタイ16章までの通読箇所を学びました。そこには驚くべきテーマがありました:
目次
神の贖いの計画は、人間の失敗や限界を超えて進んでいく
ロトの娘たちの恥ずべき行為から、メシアの系図が生まれました。異邦人ルツが、ダビデの曾祖母となりました。ハンナの個人的な祈りが、民族の転換点となりました。
では、あなたはどうでしょうか?
今日は、「自分は大したことない」と感じるあなたへ、神の目から見たあなたの価値を、聖書から見ていきたいと思います。
1. 「自分は大したことない」という思いの正体
まず、この思いがどこから来るのかを理解しましょう。
日本文化の影響
日本では、謙遜が美徳とされています:
- 「いえいえ、私なんて」
- 「まだまだです」
- 「つまらないものですが」
これは文化的には良いことですが、信仰生活では危険な罠になることがあります。
完璧主義の重荷
多くの日本のクリスチャンが抱える苦しみ:
- 「もっと聖書を読まなければ」
- 「もっと祈らなければ」
- 「もっと奉仕しなければ」
- 「こんな自分では、神に喜ばれない」
比較の苦しみ
- あの人は立派な証しを持っている
- あの人は聖書知識が豊富だ
- あの人は熱心に奉仕している
- それに比べて自分は…
サタンの二つの戦略
実は、この「自分は大したことない」という思いは、サタンの巧妙な嘘の一つです。
サタンには二つの戦略があります:
- 罪を犯す前:「あなたは神のようになれる」(創世記3:5)→高慢
- 罪を犯した後:「あなたは価値がない」→自己卑下
どちらも、真理からあなたを遠ざけるための嘘です。
2. 神の目から見たあなたの価値:聖書の真理
では、聖書は何と言っているでしょうか?
あなたは世界の基が置かれる前から選ばれた
エペソ1:4-6: 「すなわち、神は私たちを世界の基の置かれる前からキリストのうちに選び、御前で聖く、傷のない者にしようとされました。神は、ただみこころのままに、私たちをイエス・キリストによってご自分の子にしようと、愛をもってあらかじめ定めておられました。それは、神がその愛する方にあって私たちに与えてくださった恵みの栄光が、ほめたたえられるためです。」
注目してください:
- 世界の基が置かれる前から:あなたが生まれる前から
- キリストのうちに選び:あなたの功績によらず
- 愛をもってあらかじめ定めて:神の一方的な愛
- ご自分の子にしようと:養子縁組ではなく、本当の子として
あなたの価値は、永遠の昔からの神の選びにあるのです。
あなたは神の形に造られた
創世記1:27: 「神は人をご自身のかたちとして創造された。神のかたちとして彼を創造し、男と女とに彼らを創造された。」
神の形(ヘブライ語:צֶלֶם、ツェレム)とは:
- 神の性質を反映する存在
- 神の代理者として地を治める権威
- 被造物の中で特別な地位
あなたは「ちょっといい動物」ではありません。神の形に造られた、尊厳ある存在です。
あなたはキリストの血で買い取られた
第一コリント6:19-20: 「あなたがたのからだは、あなたがたのうちに住まれる、神から受けた聖霊の宮であり、あなたがたは、もはや自分自身のものではないことを、知らないのですか。あなたがたは、代価を払って買い取られたのです。ですから自分のからだをもって、神の栄光を現しなさい。」
第一ペテロ1:18-19: 「ご承知のように、あなたがたが先祖から伝わったむなしい生き方から贖い出されたのは、銀や金のような朽ちる物にはよらず、傷もなく汚れもない小羊のようなキリストの、尊い血によったのです。」
神はあなたを買い戻すために、御子の命を代価として支払われました。
これが、あなたの価値です。
あなたは神の傑作
エペソ2:10: 「私たちは神の作品であって、良い行いをするためにキリスト・イエスにあって造られたのです。神は、私たちが良い行いに歩むように、その良い行いをもあらかじめ備えてくださったのです。」
「作品」と訳されているギリシャ語はποίημα(ポイエーマ)。
これは:
- 詩(poem)の語源
- 芸術作品
- 傑作
あなたは神の「詩」、神の「傑作」なのです。
あなたは王である祭司
第一ペテロ2:9: 「しかし、あなたがたは、選ばれた種族、王である祭司、聖なる国民、神の所有とされた民です。それは、あなたがたを、やみの中から、ご自分の驚くべき光の中に招いてくださった方のすばらしいみわざを、あなたがたが宣べ伝えるためなのです。」
あなたは:
- 選ばれた種族
- 王である祭司
- 聖なる国民
- 神の所有とされた民
これが、客観的真理です。あなたの感覚や自己評価とは無関係に、これが事実です。
あなたは神の相続人
ローマ8:16-17: 「私たちが神の子どもであることは、御霊ご自身が、私たちの霊とともに、あかししてくださいます。もし子どもであるなら、相続人でもあります。私たちがキリストと、栄光をともに受けるために苦難をともにしているなら、私たちは神の相続人であり、キリストとの共同相続人であります。」
相続人=すべてを受け継ぐ者
あなたは神の王国を受け継ぐ者なのです。
3. 「主につながっている」ことが価値の源泉
ここまで読んで、「でも、私は全然できていない」と思うかもしれません。
その通りです。そして、それで良いのです。
ぶどうの木と枝のたとえ
ヨハネ15:5: 「わたしはぶどうの木で、あなたがたは枝です。人がわたしにとどまり、わたしもその人の中にとどまっているなら、そういう人は多くの実を結びます。わたしを離れては、あなたがたは何もすることができないからです。」
注目してください:
- 「わたしを離れては、何もできない」
- しかし「わたしにとどまるなら、多くの実を結ぶ」
あなたの価値は:
- あなた自身の能力にあるのではなく
- あなたの完璧さにあるのではなく
- 主につながっていることにある
パウロの告白:弱さの中の神の力
使徒パウロでさえ、こう告白しています:
第二コリント12:9-10: 「しかし、主は、『わたしの恵みは、あなたに十分である。というのは、わたしの力は、弱さのうちに完全に現れるからである』と言われたのです。ですから、私は、キリストの力が私をおおうために、むしろ大いに喜んで私の弱さを誇りましょう。ですから、私は、キリストのために、弱さ、侮辱、苦痛、迫害、困難に甘んじています。なぜなら、私が弱いときにこそ、私は強いからです。」
神の力は、弱さのうちに完全に現れる
あなたが「大したことない」と感じること、それは実は恵みの器としての正しい姿勢なのです。
なぜなら:
- 神の力が弱さのうちに現れるから
- 神は「高ぶる者を退け、へりくだる者に恵みを与える」(ヤコブ4:6)から
4. 聖書の人物たちも「大したことない」人たちだった
聖書を見ると、神が用いられたのは「大した人」ではありませんでした。
ギデオン:「私は貧弱」
士師記6:15: 「そこでギデオンは仰せられた。「ああ、主よ。私にどうしてイスラエルを救うことができましょう。ご存じのように、私の分団はマナセのうちで最も弱く、私は父の家で一番若いのです。」」
しかし神は:
- 「わたしがあなたとともにいる」(6:16)
- そして300人で135,000人の敵を倒した
理由:「イスラエルがわたしに向かって『自分の手で自分を救った』と言って、わたしに対して誇ることのないため」(7:2)
ダビデ:末の息子
サムエルがエッサイの息子たちを見た時、ダビデは:
- 羊の世話をしていた
- 父親も最初は呼ばなかった
- 最も小さく、見過ごされていた
しかし神は: 「主は人が見るようには見ない。人はうわべを見るが、主は心を見る」(第一サムエル16:7)
ペテロ:失敗だらけの弟子
- イエスを3度否認
- 水の上で沈みかける
- イエスを「サタン」と叱責される(マタイ16:23)
しかし、そのペテロが:
- 初代教会のリーダー
- ペンテコステで3000人を導く
- 第一・第二ペテロの手紙を書く
パウロ:「罪人のかしら」
第一テモテ1:15: 「『キリスト・イエスは、罪人を救うためにこの世に来られた』ということばは、まことであり、そのまま受け入れるに値するものです。私はその罪人のかしらです。」
しかし、そのパウロが:
- 異邦人への使徒
- 新約聖書の半分を執筆
- 教会の土台を築く
共通点:神が用いられた
これらの人々の共通点は:
- 自分を「大した者」と思っていなかった
- しかし神につながっていた
- そして神が用いられた
第一コリント1:27-29: 「しかし神は、知恵ある者をはずかしめるために、この世の愚かな者を選び、強い者をはずかしめるために、この世の弱い者を選ばれたのです。また、この世の取るに足りない者や見下されている者を、神は選ばれました。すなわち、有るものをない者のようにするため、無に等しいものをです。それは、神の御前でだれをも誇らせないためです。」
5. 「できていない自分」への正しい向き合い方
「でも、私は毎日失敗ばかり。妬んだり、裁いたり、心の中は汚れでいっぱいです」
もしそう感じているなら、あなたは正直な人です。そして、それは霊的成長の証拠です。
パウロの格闘
ローマ7:18-19, 24-25: 「私は、私のうち、すなわち、私の肉のうちに善が住んでいないのを知っています。私には善をしたいという願いがいつもあるのに、それを実行することがないからです。私は、自分でしたいと思う善を行わないで、かえって、したくない悪を行っています。…私は、ほんとうにみじめな人間です!だれがこの死の、からだから、私を救い出してくださるのでしょうか。私たちの主イエス・キリストのゆえに、ただ神に感謝します。」
パウロでさえ、この格闘をしていました。
成長とは何か
聖化の逆説:
- 成長すればするほど、自分の罪深さが見える
- 光に近づくほど、影がはっきりする
- それが恵みへの深い感謝を生む
完全な聖化は今生では不可能です。
しかし:
- 進歩の過程が報いられる
- 神は結果だけでなくプロセスを見ておられる
- 正直な悔い改め自体が霊的成長の証
神の約束
ピリピ1:6: 「あなたがたのうちに良い働きを始められた方は、キリスト・イエスの日が来るまでにそれを完成させてくださることを私は堅く信じているのです。」
完成させてくださるのは神です。あなたの責任ではありません。
6. あなたは神に愛されている:これは事実
最後に、最も大切なことを言わせてください。
あなたは神に愛されています。
これは:
- あなたの感覚ではありません
- あなたの自己評価ではありません
- 客観的な事実です
詩篇139:13-18
「それはあなたが私の内臓を造り、母の胎のうちで私を組み立てられたからです。私は感謝します。あなたは私に、奇しいことをなさって恐ろしいほどです。私のたましいは、それをよく知っています。私がひそかに造られ、地の深い所で仕組まれたとき、私の骨組みはあなたに隠れてはいませんでした。あなたの目は胎児の私を見られ、あなたの書物にすべてが、書きしるされました。私のために作られた日々が、しかも、その一日もないうちに。神よ。あなたの御思いを知るのはなんとむずかしいことでしょう。その総計は、なんと多いことでしょう。それを数えようとしても、それは砂よりも数多いのです。私が目ざめるとき、私はなおも、あなたとともにいます。」
神は:
- あなたを母の胎から知っておられる
- あなたのために日々を備えておられる
- あなたについて砂よりも多い思いを持っておられる
- あなたが目覚める時、いつもともにおられる
愛の証明
ローマ5:8: 「しかし私たちがまだ罪人であったとき、キリストが私たちのために死んでくださったことにより、神は私たちに対するご自身の愛を明らかにしておられます。」
神があなたを愛しておられる証明は:
- あなたの功績ではなく
- あなたの完璧さでもなく
- 十字架です
神の愛は、十字架によって証明済みです。
7. 今日から変わること:実践的適用
では、この真理を受け取ったあなたは、今日から何が変わるでしょうか?
あなたの祈りが変わる
変化前:
- 「主よ、私は無価値です」
- 「私には何もできません」
- 「私は失敗ばかりです」
変化後:
- 「主よ、あなたは私を価値ある者としてくださいました」
- 「主につながっているから、多くの実を結びます」
- 「主の恵みは私に十分です」
あなたの奉仕が変わる
変化前:
- 義務感から
- 自己実現のため
- 恐れから
変化後:
- 愛の応答として
- 主の栄光のために
- 確信をもって
あなたの証しが変わる
変化前:
- 「私がこれをしました」
- 自己PR
変化後:
- 「主が私を通してこれをされました」
- 神の恵みの証し
あなたの他者への見方が変わる
自分が主につながっていることで価値があると理解すると:
- 他者と比較しなくなる
- 他者を裁かなくなる
- 他者の弱さに憐れみを持てる
ガラテヤ6:3-4: 「だれでも、りっぱでもない自分を何かりっぱでもあるかのように思うなら、自分を欺いているのです。おのおの自分の行いをよく調べてみなさい。そうすれば、誇れると思ったことも、ただ自分だけの誇りで、ほかの人に対して誇れることではないでしょう。」
8. 日本宣教への適用:あなたを通して神は働かれる
最後に、あなたが日本人クリスチャンなら、この真理は特別な意味を持ちます。
日本の教会は小さく、クリスチャン人口は1%未満です。
「私一人が何をしても、何も変わらない」
そう思うかもしれません。
しかし、覚えてください:
- モアブとアンモンの恥ずべき始まりから、メシアの系図が生まれました
- 異邦人ルツの忠実さが、ダビデ王朝につながりました
- ハンナの個人的な祈りが、民族の転換点となりました
神は小さく見える者を用いて、大きな御業をなさいます。
第一コリント1:26-29(もう一度): 「兄弟たち、あなたがたの召しのことを考えてごらんなさい。この世の知者は多くはなく、権力者も多くはなく、身分の高い者も多くはありません。しかし神は、知恵ある者をはずかしめるために、この世の愚かな者を選び、強い者をはずかしめるために、この世の弱い者を選ばれたのです。また、この世の取るに足りない者や見下されている者を、神は選ばれました。すなわち、有るものをない者のようにするため、無に等しいものをです。それは、神の御前でだれをも誇らせないためです。」
あなたの:
- 祈り
- 証し
- 奉仕
- ブログ
- 一言の励まし
- 小さな親切
これらすべてが、神の手の中で用いられます。
結論:あなたは主に愛されている
「自分は大したことない」
その思いは、もう手放しましょう。
なぜなら:
あなたは大したことがないかもしれない。 しかし、あなたの神は偉大な方です。
あなたは弱いかもしれない。 しかし、主の力は弱さのうちに完全に現れます。
あなたは完璧ではないかもしれない。 しかし、神の恵みはあなたに十分です。
あなたは小さいかもしれない。 しかし、神は小さな者を用いて大きな御業をなさいます。
そして何よりも:
あなたは主に愛されています。 これは感情ではなく、事実です。
あなたは主に選ばれています。 これは偶然ではなく、永遠の計画です。
あなたは主に用いられています。 これは願望ではなく、現実です。
ヨハネ15:16: 「あなたがたがわたしを選んだのではありません。わたしがあなたがたを選び、あなたがたを任命したのです。それは、あなたがたが行って実を結び、そのあなたがたの実が残るためであり、また、あなたがたがわたしの名によって父に求めるものは何でも、父があなたがたにお与えになるためです。」
主はあなたを選び、任命されました。
あなたは「大したことない」のではありません。 あなたは「主につながっている、価値ある存在」なのです。
この真理を、今日、受け取ってください。
祈り
天の父よ、
今日、私は真理を知りました。
私の価値は、私自身の能力や完璧さにあるのではなく、 あなたが私を愛し、選び、用いてくださることにあります。
私が「大したことない」と感じる時も、 あなたの恵みは私に十分です。
私が弱い時、 あなたの力が私のうちに完全に現れます。
主よ、この真理を、私の心の深いところに刻んでください。
そして、私を通して、 あなたの栄光が現されますように。
主イエス・キリストの御名によって祈ります。
アーメン。


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