アブシャロムの反乱 人物関係図

聖書の名言集
通読をしていると、福音に直接関係ないかもしれないが、気になること、興味を引かれることが出てくる。「この人は誰だろう」「なぜこのルートを通ったのだろう」「アラム人って何だろう」——気になるポイントは人それぞれだろう。 でも、そこを調べてみると、聖書の世界がぐっと立体的に見えてくる。登場人物の関係がわかると、物語の深みが増す。地理がわかると、彼らの旅路が見えてくる。 今わかったことを、来年またこの箇所を読んだ時に見返せるように、ここに残しておく。 第二サムエル16-17章 アブシャロムの反乱

👑 ダビデ王 דָּוִד

イスラエル統一王国第2代の王。神に油注がれた者。
息子アブシャロムの反乱により、エルサレムからの逃亡を余儀なくされる。

⚔️ 二つの陣営

🛡️ ダビデ側(忠臣たち)
フシャイ חוּשַׁי
「ダビデの友」(公式役職)
アルキ人。アブシャロム陣営にスパイとして潜入し、アヒトフェルの策略を打ち砕いた立役者。
ヨアブ יוֹאָב
軍団長
ダビデの甥。有能だが冷酷な面もある将軍。最終的にアブシャロムを殺した。
👨‍👩‍👦 母ツェルヤはダビデの姉妹
アビシャイ אֲבִישַׁי
ヨアブの兄弟
勇猛な戦士。シムイがダビデを罵った時、「首をはねさせてください」と進言したが、ダビデは許さなかった。
ツァドク & エブヤタル
祭司たち
エルサレムに残り、情報収集の拠点となった。フシャイからの情報をダビデに伝える役割。
ヨナタン & アヒマアツ
祭司の息子たち・伝令
エン・ロゲルに隠れ、フシャイからの情報をダビデに伝えた。井戸に隠れて追手を逃れた。
イタイ אִתַּי
ガテ人(ペリシテ人)
異邦人でありながらダビデに忠誠を誓い、「王の生き死にを共にする」と宣言した忠臣。
⚔️ アブシャロム側(反乱軍)
アブシャロム אַבְשָׁלוֹם
ダビデの第三子
美しい容姿で民の心を盗み、ヘブロンで反乱を起こした。父の側女と関係を持ち、公然と王位を主張。
👩 母はゲシュルの王タルマイの娘マアカ
アヒトフェル אֲחִיתֹפֶל
元ダビデの顧問・ギロ人
「神のことばを伺って得ることばのような」知恵の持ち主(16:23)。自分の策が採用されなかったことを見て、首をくくって死んだ。
💡 バテシェバの祖父という説もある(個人的復讐の動機?)
アマサ עֲמָשָׂא
反乱軍の軍団長
ヨアブの代わりに軍団長に任命された。実はダビデの甥でもあった。
👨‍👩‍👦 母アビガルはツェルヤの妹(ダビデの姉妹)

📨 情報伝達の流れ(ダビデ側のスパイ網)

フシャイ
(潜入スパイ)
ツァドク・エブヤタル
(祭司)
女奴隷
(連絡係)
ヨナタン・アヒマアツ
(伝令)
ダビデ

この連携により、ダビデはアヒトフェルの策略を事前に知り、ヨルダン川を渡って逃げ延びることができた

⚖️ その他の登場人物
シムイ שִׁמְעִי
ゲラの子、サウル家の一族
逃亡するダビデを「血まみれの男、よこしまな者」と罵り、石を投げつけた。ダビデは「主が命じられたのだから、ほうっておきなさい」と報復を禁じた。
16:5-13
ツィバ צִיבָא
メフィボシェテのしもべ
主人メフィボシェテを「エルサレムで王国を取り戻そうとしている」と讒言し、財産を横取りした。実際はメフィボシェテを置き去りにしただけだった。
真相は19:24-30
メフィボシェテ מְפִיבֹשֶׁת
ヨナタンの子、サウルの孫
両足が不自由(幼い頃、乳母が落とした事故による)。ツィバに騙され、ダビデのもとへ行けなかった。ダビデに忠実だった。
4:4、9:1-13、19:24-30
🤝 マハナイムでダビデを助けた人々(17:27-29)
バルジライ בַּרְזִלַּי
ギルアデ人、ログリム出身
80歳の富豪。食糧や寝具を提供。後にダビデは息子キムハムへの恵みを遺言した。
遺言:第一列王記2:7
マキル מָכִיר
アミエルの子、ロ・デバル出身
メフィボシェテを長年かくまっていた人物。ダビデへの忠誠心が厚かった。
9:4-5
ショビ שׁוֹבִי
ナハシュの子、アモン人
ラバ出身の異邦人。敵国アモンの民でありながら、ダビデを助けた。
バフリムの女
名前不詳
井戸の口を覆い、追手からヨナタンとアヒマアツを守った勇敢な女性。
17:18-20

📚 聖書をもっと楽しむ豆知識

👤 「アルキ人」フシャイについて

アルキ人とは?

「アルキ人」הָאַרְכִּי(ハ・アルキー)は、ベニヤミンの領地にあった「アレク」という町の出身者を指す(ヨシュア記16:2)。つまり、フシャイは異邦人ではなく、イスラエルの住民である。ただし「アルキ人」は地域的な呼び方で、カナン系の人々が元々住んでいた地域だから、異邦人の血が混じっていた可能性はある。

「ダビデの友」という称号

「ダビデの友」רֵעֶה דָּוִד(レエー・ダーヴィード)は単なる友人関係を表すのではなく、公式な役職名である。王の側近・相談役を意味し、現代で言えば「大統領首席補佐官」のような立場。この役職は後のソロモン時代にも引き継がれた(第一列王記4:5)。

⚠️ 雄弁な助言の恐ろしさ

「神のことばを伺って得ることばのようであった」(16:23)

アヒトフェルの助言は、ダビデにもアブシャロムにも「神のことばのよう」に思えた。しかしその知恵は神に敵対する方向に使われた。説得力があり、論理的で、知的に聞こえるからといって、それが神の御心とは限らない。御言葉との照合が常に必要である。

神の主権による逆転(17:14)

「これは主がアブシャロムにわざわいをもたらそうとして、主がアヒトフェルのすぐれたはかりごとを打ちこわそうと決めておられたからであった。」——人間の知恵がどれほど優れていても、神の計画を覆すことはできない。

📖 この反乱の結末

アヒトフェル:自分の策が採用されないと見て、家に帰り首をくくって死んだ(17:23)
アブシャロム:樫の木に髪が絡まり、ヨアブに殺された(18:9-15)
ダビデ:息子の死を深く嘆きながらも、エルサレムに帰還した(19章)
シムイ:ダビデに許しを請い、一時は赦された(19:18-23)
メフィボシェテ:真相を説明し、ダビデとの関係が回復した(19:24-30)

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