目次
はじめに:私の勘違い
聖書を学んでいると、時々「あれ?私、ずっと勘違いしてたかも…」という瞬間がありますよね。
今日、私にそんな瞬間が訪れました。
ベニヤミン族がユダ族の中にあると思い込んでいたんです。誰かにそう教えられた記憶があって、ずっとそう信じていました。
でも、今日改めて地図を見て、聖書を読んで…
イスラエル12部族の配置図
民数記34章 × ヨシュア記 – 神様の計画と実現
🗺️ この地図について
📖 聖書的背景
民数記34章で、神様はモーセに約束の地の境界線を詳細に示されました。
その後、ヨシュア記で実際に土地が分配され、各部族が定住していきました。
🎯 3つの地域区分
ヨルダン川西側(9.5部族)
ヨシュアの時代に征服し、分配された地域。カナンの中心部。
ヨルダン川東側(2.5部族)
モーセがすでに分配。ルベン、ガド、マナセ半部族。
レビ族
土地なし。48の町と周辺の放牧地のみ。「主が相続地」
⭐ 各部族の特徴
北部の部族(紫系)
- ナフタリ:最北端、肥沃な土地
- アシェル:地中海沿岸、オリーブ油の産地
- ゼブルン:商業で栄えた
- イッサカル:農業に適した平野
中央の部族(青・オレンジ系)
- マナセ:ヨルダン川の両側に分かれた唯一の部族
- エフライム:ヨセフの子、影響力が大きい
- ベニヤミン:エルサレムを含む重要な地域
- ダン:小さいが勇敢な部族(後に北に移動)
南部の部族(赤系)
- ユダ:最大の部族。ダビデ、イエス・キリストの家系
- シメオン:ユダの中に相続地を持つ(創世記49章の預言成就)
ヨルダン川東側(黄・緑系)
- マナセ東半部族:バシャンの肥沃な土地
- ガド:ギルアデの山地、牧畜に適する
- ルベン:長子だったが祝福を失った
💡 神学的意味
1. 神様の公平さ:各部族に適した土地が与えられた
2. 多様性の中の一致:12部族は異なる役割を持ちながら、一つのイスラエル
3. 預言の成就:創世記49章のヤコブの預言が実現
4. キリストへの予型:ユダ族からメシアが来る(創世記49:10)
🔍 重要な注意点
理想と現実:この地図は神様が示された「理想」の配置です。実際には:
- 完全には征服されていない地域が多かった
- ペリシテ人など、残された敵がいた
- 各部族は段階的に定住していった
- 後の時代に領土は変化していった
「あ、違った!」
そこから始まった学びが、予想以上に深く、豊かなものになりました。
📍 正しい理解:ベニヤミン族の位置
実は、ベニヤミン族はユダ族の中ではなく、**ユダ族の隣(北側)**にいたんです。
正確な配置(北から南へ):
- エフライム族(ヨセフの子孫)
- ベニヤミン族 ← ここ!
- ユダ族
ベニヤミンは「中」ではなく「間」にある部族でした。
なぜ勘違いしやすい?
実は、この勘違いには理由があります:
- 王国分裂後の関係(列王記第一12章)
- 北イスラエル:10部族
- 南ユダ:ユダ族+ベニヤミン族
- ベニヤミンは完全にユダ王国側についた
- エルサレムの位置
- エルサレムはベニヤミンとユダの境界線上
- ダビデ王朝以降、実質的にユダの首都
- だからベニヤミンも「ユダの勢力圏内」という印象
- サイズの違い
- ベニヤミンは非常に小さい
- ユダは非常に大きい
- だから「ユダの中の小さな部族」と誤解しやすい
でも、地図を見れば明らか:ベニヤミンはユダの「隣」です。
🗺️ もう一つの発見:シメオン族
そして、ここでもう一つの重要な発見がありました。
実は、ユダ族の中にいたのは、ベニヤミンではなくシメオン族だった!
ヨシュア記19:1, 9(新改訳2017)
「第二のくじはシメオンのために、シメオン部族の諸氏族のために引かれた。彼らの相続地はユダ族の相続地の真ん中にあった。」 「シメオン族の相続地は、ユダ族の割り当て地の中から取られた。ユダ族の割り当て地が彼らには大きすぎたからである。」
なるほど!私はベニヤミンとシメオンを混同していたんですね。
🤔 なぜシメオン族はユダの中に?
ここで疑問が湧きました:
「シメオン族はユダの中にいたのに、王国分裂の時、なぜユダについていったという記録がないんだろう?」
その答えを探る中で、シメオン族の悲しい歴史が見えてきました。
シメオン族の衰退
- 呪いの預言(創世記49:5-7) ヤコブの祝福の時: 「シメオンとレビは兄弟。彼らの剣は暴虐の道具。…わたしは彼らをヤコブの中に分散させ、イスラエルの中に散らす。」
- 急速な人口減少
- 第1回人口調査(民数記1章): 59,300人
- 第2回人口調査(民数記26章): 22,200人
- なんと63%も減少!(12部族中、最大の減少率)
- 歴史から消えていく
- ダビデの時代の人口調査に名前がない
- 士師記にもほとんど登場しない
- モーセの祝福(申命記33章)でもシメオンだけ省かれている
✨ 主に吸収される恵み
シメオン族の歴史を学ぶ中で、深い励ましを受けました。
- シメオンは独立した相続地を持てず、ユダに依存
- やがてシメオン族は歴史から消えていく
- しかしユダ族からメシアが出る
個別の栄光は消えても、もっと大きな栄光の一部になったのです。
これは、個々の部族の栄光ではなく、キリストにおいて一つになるという神様の計画を示しています。シメオンの「失われた」相続地は、究極的にはメシアを指し示す矢印になっています。
バプテスマのヨハネの言葉(ヨハネ3:30)
「あの方は盛んになり、私は衰えなければなりません」
シメオン族が歴史から消えていったように、私たちも:
- 自分の名が消えて
- キリストの名だけが残る
- それが最高の栄光
ユダ族は王の部族であり、メシアであるイエス様はユダ族から出られました。そしてイエス様は、レビ族の祭司制度を超えたメルキゼデクの位に等しい永遠の大祭司です(ヘブル7章)。シメオン族がユダ族に吸収されていったように、罪ある私たちが主イエスの中に消えて、主イエスが大きくなる。主にだけ栄光がありますように。
💡 二人の族長の物語:ユダとシメオン
💎 参考メッセージ
この学びは、新宿シャローム教会の真島誠師のメッセージから大きな示唆を受けました。
「ユダの選んだ十字架の道」
真島誠師(2019年9月15日 新宿シャローム教会 第三礼拝)
ユダの悔い改めと回復について、さらに深く学びたい方は、ぜひ新宿シャローム教会のYouTubeチャンネルでこのメッセージをお聞きください。
以前は新宿シャローム教会のYouTubeをよく聞いていたのですが、今は忙しくなり、たまにしか聞けなくなりました。自分の通っている教会の礼拝は第一にする前提で、他の教会のメッセージも聴くことは恵まれます。人間なので、学びたい欲求は誰にでもあります。YouTube、書籍、ブログ、note、他情報は選ばなくてはならないし、吟味しなくてはなりませんが、祈りつつ探すと、求めているところにたどり着けます。この動画は、ずいぶん昔のものですが、今の私に主の御心を教えられます。
シメオンの族長ジムリの罪(民数記25章)
民数記25:6-15
「そのとき、イスラエルの子らの一人が、モーセと、会見の天幕の入り口で泣いていたイスラエルの子らの全会衆の目の前で、ミディアン人の女を自分の兄弟たちのところに連れて来た。…殺されたイスラエル人の男の名はジムリ。彼はサル(シメオン)の父の家の族長であった。」
シメオンの族長が、公然と、会見の天幕の前で、異邦人女性との性的な罪を犯したのです。
ユダの罪と悔い改め(創世記38章)
一方、ユダにも性的な罪がありました。息子の嫁タマルと図らずも関係を持ってしまったのです。
でも、ユダには決定的な瞬間がありました:
創世記38:26
「ユダはそれを見分けて言った。『あの女は私よりも正しい。』」
この一言が、ユダの悔い改めの瞬間でした。
変えられたユダ(創世記43-44章)
そして後に、ユダは全く違う人になっていました:
創世記43:8-9
「ユダは父イスラエルに言った。『あの子を私と一緒に行かせてください。…**私自身が彼の保証人になります。私に責任を負わせてください。**もし私が彼をあなたのもとに連れ戻さず、あなたの前に彼を立たせることができなかったら、私が生涯その罪を負います。』」
創世記44:33
「ですから今、どうかこのしもべを、あの子の代わりに、わが主の奴隷としてとどまらせ、あの子を兄弟たちと一緒に帰らせてください。」
弟ベニヤミンのために、自分の命を差し出すユダ。
これが、創世記38章で砕かれ、悔い改めた結果でした。
🎯 二つの道:悔い改めと回復 vs 続く罪と衰退
ユダの道
- 性的な罪を犯す
- 証拠を突きつけられて悔い改める
- 「あの女は私よりも正しい」
- → 変えられた人になる
- → ベニヤミンの命を自分の命と引き換えにする
- → メシアの系譜に入る!(マタイ1:3)
シメオンの族長の道
- 性的な罪を犯す
- 公然と、会見の天幕の前で、堂々と
- 悔い改めの記録なし
- → ピネハスに刺し殺される
- → 部族全体が裁きを受ける(24,000人死亡)
- → やがて歴史から消えていく
⚠️ 大切な注意:聖書が語ることと推測の区別
ここで、大切なことを学びました。
私は最初、「シメオン族は悔い改めなかった」と言いましたが、よく考えると、聖書にそうは書かれていません。
聖書的に確実なこと
- シメオンとレビは分散される預言を受けた
- レビは献身により祭司職を得た(記録あり)
- シメオンは急速に衰退し、歴史から消えた(記録あり)
- シメオンの族長が重大な罪を犯した(記録あり)
推測に過ぎないこと
- シメオン族全体が悔い改めなかった
- レビのような献身の機会がなかった
- 神様がシメオンを特別に裁かれた
聖書は沈黙しているので、私たちも断定を避けるべきです。
むしろ、こう言うべきでしょう:
「シメオン族は、レビ族のような明確な献身と回復の記録が残されていないまま、創世記49章の預言通り分散し、歴史の中で存在感を失っていった」
📚 聖書を深く読むということ
この一連の学びを通して、改めて感じたことがあります。
私が学んでいる愼悟先生は、一日40章も聖書を通読され、神学校時代には黙示録を暗記されたそうです。今は忘れたそうですが、一度暗記したことで「何がどこに書いてあるか」はすぐに分かるとおっしゃいます。
なぜそこまでの理解が可能なのか
ヨハネ14:26
「しかし、助け主、すなわち、父がわたしの名によってお遣わしになる聖霊は、あなたがたにすべてのことを教え、わたしがあなたがたに話したすべてのことを思い起こさせてくださいます。」
ここに鍵があります。
聖霊は「思い起こさせる」のです。
つまり、まず頭の中に入っていないと、思い起こせない!
徹底的に読み、暗記することで、聖霊様が必要な時につなげてくださるんですね。
聖書理解の3つの要素
- 人間の努力(読む、学ぶ、暗記する)
- 繰り返し通読
- 暗記
- 献身的な学び
- 聖霊の啓示(つなげる、照らす、適用する)
- バラバラだった聖句がつながる
- 「ああ、そういうことか!」という瞬間
- 個人的な適用
- 謙遜な心(砕かれた霊)
- 「私よりも正しい」と言えたユダ
- 自分の理解に固執しない
- 訂正を受け入れる
✨ 間違えることを恐れない
今日の私のように、聖書を読んでいて間違えることは誰にでもあります。
でも、それでいいんです。
ピリピ3:12-14
「私がすでに得たのでもなく、すでに完全にされているのでもありません。ただ捕らえようとして追求しているのです。…私は、すでに捕らえたとは思っていません。ただ一つのこと、すなわち、後ろのものを忘れ、前のものに向かって身を伸ばし…」
パウロでさえ「まだ完全じゃない」と言っています!
箴言9:9
「知恵のある者に与えよ。そうすれば、彼はますます知恵を得る。正しい者を教えよ。そうすれば、彼は学びを増す。」
訂正を受け入れる者が、さらに知恵を得るのです。
🙏 むすび:弱さのうちに現れる神様の力
正直に言うと、この記事を書くのは少し恥ずかしいです。
自分の間違いを公にするわけですから。
でも、こんな御言葉があります:
Ⅱコリント12:9-10
「『わたしの恵みはあなたに十分である。わたしの力は弱さのうちに完全に現れるからである。』ですから私は、キリストの力が私をおおうために、むしろ大いに喜んで自分の弱さを誇りましょう。」
私の間違い、勘違い、そしてそこからの学び。
これらすべてを通して、神様が働いてくださることを信じます。
この記事を読んでくださった方へ
もしあなたが:
- 「聖書は難しい」と感じているなら
- 「間違えるのが怖い」と思っているなら
- 「完璧に理解してから読もう」と先延ばしにしているなら
どうか、このことを覚えてください:
間違えてもいい。質問してもいい。自分で読んでいい。
神様は、完璧な理解を求めておられません。 神様は、求める心、学ぶ心、謙遜な心を喜ばれます。
一緒に、聖書を読んでいきましょう。 一緒に、間違えながらも学んでいきましょう。 一緒に、神様の素晴らしさを発見していきましょう。
あなたの聖書の学びが、さらに豊かになりますように。 日本にリバイバルが起こりますように。
🙏✨
参考聖句まとめ
- 創世記38:26(ユダの悔い改め)
- 創世記43:8-9, 44:33(変えられたユダ)
- 創世記49:5-7(シメオンとレビへの預言)
- 民数記25:6-15(シメオンの族長ジムリの罪)
- ヨシュア記19:1, 9(シメオン族の相続地)
- マタイ1:3(メシアの系譜にユダとタマル)
- ヨハネ14:26(聖霊が思い起こさせる)
- ピリピ3:12-14(まだ完全ではない)
- Ⅱコリント12:9-10(弱さのうちに現れる力)
この記事は、実際の聖書学びの対話から生まれました。


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