【第1部】導入 – あなたの混沌の上を覆う神の霊
混沌の中にいるあなたへ
人生で「何も見えない」時期を経験していませんか?
- 将来が見えない
- どうしたらいいか分からない
- まるで闇の中にいるように感じる
- 努力しても結果が出ない
- 混沌とした状況から抜け出せない
そんなあなたに、創世記1章2節が驚くべき希望を語りかけています。
創世記1:2 – 神の霊がホバリングしている
【新改訳2017】創世記1:2
「地は茫漠として何もなく、闇が大水の面の上にあり、神の霊がその水の面を動いていた。」
この短い一文に、あなたの人生を変える真理が隠されています。
ヘブライ語の美しい真実
ヘブライ語原文:
וְרוּחַ אֱלֹהִים מְרַחֶפֶת עַל־פְּנֵי הַמָּיִם
(ヴェルーアハ・エロヒーム・メラヘフェット・アル・ペネイ・ハマイム)
語句分析:
・רוּחַ(ルーアハ): 霊、息、風
・אֱלֹהִים(エロヒーム): 神
・מְרַחֶפֶת(メラヘフェット): ホバリングする、覆う、優しく揺れる
・עַל־פְּנֵי(アル・ペネイ): ~の面の上に
・הַמָּיִם(ハマイム): 水
メラヘフェット – 母鳥の優しさ
מְרַחֶפֶת(メラヘフェット)という言葉、これは聖書でもう一箇所だけ使われています。
申命記32:11
「鷲が巣のひなを呼びさまし、そのひなの上を舞いかけり、翼を広げてこれをとり、羽に載せて行くように」
これは母鳥が巣の上で翼を広げて、卵を温めている様子です。
神の霊の三つの働き
メラヘフェット(ホバリング)は、神様の愛の姿勢を表しています:
1. とどまる – 空中で静止しながら位置を保つ
2. 覆う – 翼を広げて優しく包む
3. 見守る – 愛をもって、いのちを生み出そうとする
まだ何も形が見えない混沌の状態でも、神の霊はあなたの上にとどまり、覆い、いのちを生み出そうとしているんです。
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第2部:ホバリング → ポジション → ポジティブの流れ
驚くべき語源のつながり
実は、「ホバリング」「ポジション」「ポジティブ」という三つの言葉は、深いつながりがあります。
ホバリング(Hovering) = 位置を保つ
英語のhover(ホバー)は「空中で静止する」「その場にとどまる」という意味。
つまり、位置を保ちながら、愛をもって見守るということです。
驚くべきことに、「ポジション(position)」と「ポジティブ(positive)」は、同じ語源から生まれた兄弟語なんです!
共通の語源: ラテン語 ponere(ポネーレ)
語源の流れ:
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動詞: ponere(ポネーレ)
意味: 置く・据える・配置する
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↓
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過去分詞: positus(ポジトゥス)
意味: 置かれた・据えられた
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↓
┌─────┴─────┐
↓ ↓
【positio】 【positivus】
↓ ↓
position positive
(ポジション) (ポジティブ)
置かれた状態・位置 確立された・肯定的な
意味の関係
【Position (positio = 置かれたもの)】
・元の意味: 神・人・物が「置かれた場所」
・現代的意味: 立場・位置・配置
【Positive (positivus = 確立されたもの)】
・元の意味: しっかり置かれた、動かない
・現代的意味: 肯定的・確信的・明確な
つまり、両方とも「置く(ponere)」という行為から派生しています!
霊的に言えば…
この語源の一致は、非常に象徴的です。
Position(置かれた場所) = 神が私たちを「置かれた」召しの場所
Positive(置かれたものとして確信する) = その召し・場所に「信仰をもって立つ姿勢」
ですから、
★ポジティブとは、自分のポジションに信仰をもって立つこと。
単なる「前向き思考」ではなく、「神が置かれた位置(position)」を信じ、その確かさに根ざして生きる——それが本来のpositive(ポジティブ)の霊的意味なのです。
三つの真理の流れ
【ステップ1】ホバリング(Hovering)
神の霊があなたの上にとどまり、覆っている
愛をもって見守り、いのちを生み出そうとしている
↓
【ステップ2】ポジション(Position)
神があなたをその場所に置かれた(positioned)
あなたの立場・召し・使命が定められている
↓
【ステップ3】ポジティブ(Positive)
その置かれた場所を信仰によって肯定する(positive)
確信をもって、その召しに立ち続ける
これが聖書の教える本当の「ポジティブ」です!
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第3部:聖書的な一節で表すと – エペソ2:6
神が置かれた「天のポジション」
エペソ2:6
「神はまた、キリスト・イエスにあって、私たちをともによみがえらせ、ともに天の所に座らせてくださいました。」
三つの真理の完成形
この一節に、今まで学んだすべてが集約されています:
神が私たちを天のポジションに置かれた(positioned)
↓
私たちはそこに信仰をもって立つ(positive)
つまり、
「ポジティブ」は「ポジション」の霊的応答形。
・神の置かれた場所(position)を
・信仰によって肯定し(positive)
・御霊の臨在の下で留まり続ける(hovering)
でも、ここに最も大切な言葉がある
「キリスト・イエスにあって(ἐν Χριστῷ Ἰησοῦ)」
この言葉が、すべてを変えるんです。
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第4部:「キリストにあって」を無視する危険
繁栄神学の誤った教え
残念ながら、エペソ2:6はしばしば誤用されています。
繁栄神学の主張
「あなたは天の所に座っている王だ!」
「だから神と同じ権威がある!」
「イエスが『光よあれ』と言ったように」
「あなたも『病気よ出ていけ』『富よ来い』と命令できる!」
「信仰とは、積極的に告白すること!」
どこが間違っているのか?
繁栄神学は:
・「天の所に座らせてくださった」だけ見る ← ここだけ強調
・「キリスト・イエスにあって」を無視する ← これを見ない
でも、この「キリストにあって」という言葉がすべてを変えるんです!
ἐν(エン) = 英語の “in”
ギリシア語:
・ἐν = 「~の中に」「~において」「~にあって」(場所・領域)
英語:
・in = 「~の中に」
実は、英語の “in” とギリシア語の ἐν は、同じ印欧語族の共通祖語から来ています!
英語訳を見ると明確
エペソ2:6の英訳:
KJV: “seated us with him in the heavenly realms in Christ Jesus”
NIV: “seated us with him in the heavenly realms in Christ Jesus”
ESV: “seated us with him in the heavenly places in Christ Jesus”
すべて “in Christ Jesus” です!
「in Christ」の意味
“in Christ Jesus”(キリスト・イエスの中に)とは:
1. 場所的な意味 – キリストという「場所」の中に
2. 関係的な意味 – キリストとの結合
3. 依存的な意味 – キリストから離れては何もできない
宇宙飛行士の例え
宇宙飛行士が宇宙にいる時:
・宇宙服の「中に(in)」いるから生きられる
・宇宙服から出たら即死
・宇宙にいること = 宇宙服の中にいること
同じように:
・私たちが天の所にいられるのは
・キリストの「中に(in Christ)」いるから
・キリストから出たら、何もできない
だから、誇るべきは:
・私たち自身の偉大さ ✗
・キリストの恵みの偉大さ ✓
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第5部:ぶどうの木と枝 – イエスご自身の教え
ヨハネ15章 – 最も明確な教え
主イエスご自身が、この真理を教えてくださいました。
ヨハネ15:4-5
「わたしにとどまりなさい。わたしもあなたがたの中にとどまります。枝がぶどうの木にとどまっていなければ、自分では実を結ぶことができないのと同じように、あなたがたもわたしにとどまっていなければ、実を結ぶことはできません。
わたしはぶどうの木、あなたがたは枝です。人がわたしにとどまり、わたしもその人にとどまっているなら、その人は多くの実を結びます。わたしを離れては、あなたがたは何もすることができません。」
ギリシア語の強調
原語:
・ἐν ἐμοὶ(エン・エモイ) = in me = 私の中に
・χωρὶς ἐμοῦ(コーリス・エムー) = apart from me = 私から離れて
・οὐ δύνασθε ποιεῖν οὐδέν = 何もすることができない
命の源はどこにあるのか?
【間違った理解】
私 = 木
だから私自身に力がある
【正しい理解】
キリスト = 木(命の源)
私 = 枝(キリストにつながれている)
すべての命、力、実りは木から来る
これが「キリストにあって」の意味です!
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第6部:創世記1:3と私たちの言葉の違い
神の創造の言葉
創世記1:3
「神は仰せられた。『光、あれ。』すると光があった。」
ヘブライ語:
וַיֹּאמֶר אֱלֹהִים יְהִי אוֹר וַיְהִי־אוֹר
(ヴァヨメル・エロヒーム・イェヒ・オール・ヴァイヒ・オール)
逐語訳:
「そして神は言われた / あれ、光 / そして、あった、光」
神だけの創造的な力
יְהִי(イェヒ) = 「あれ」(命令形)
これは:
・無から有を生み出す力
・言葉だけで創造する力
・これは神だけの特権
イザヤ55:10-11が教えています:
「このように、わたしの口から出るわたしのことばも、むなしく、わたしのところに帰っては来ない。必ず、わたしの喜ぶことを成し遂げ、わたしが送った事を成功させる。」
繁栄神学の間違い
繁栄神学の教え:
「あなたは天の王座に座っている」
「だから神と同じように命令できる」
「『光よあれ』と言えば、光が来る」
「『病気よ出ていけ』と言えば、病気が去る」
これは:
1. 神と人間の区別を失っている
2. 創世記3:5のサタンの誘惑と同じ(「あなたがたは神のようになる」)
3. 「キリストにあって」を無視している
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