~しゅろの葉からグラスフェッドバターまで~
目次
パーム・サンデーとは何だろう?
先日、キリスト教の文献で「イエスの時代:パーム・サンデーにイエスがこの門を通ってエルサレムに入城(マタイ21章)」という記述を見かけました。
パーム・サンデー(Palm Sunday、棕櫚の主日)は、イエス・キリストがエルサレムに入城した日を記念するキリスト教の重要な祝日です。イエスがエルサレムに入城する際、人々が道に棕櫚(パーム)の葉を敷いて歓迎したことから「パーム・サンデー」と呼ばれています。
イースター(復活祭)の1週間前の日曜日に祝われ、この日からイースターまでの1週間を「聖週間(Holy Week)」と呼びます。多くの教会では、この日に棕櫚の葉やオリーブの枝を配り、祝福する儀式が行われます。
しゅろ=パームという新発見
ここで初めて知ったのが、**しゅろ(棕櫚)を英語で言うとパーム(Palm)**ということでした。
- しゅろは英語で「palm」
- 正式には「palm tree(パームツリー)」で「ヤシの木」のこと
- 日本語の「しゅろ」と英語の「パーム」は同じ植物を指している
中東地域では、実際にはナツメヤシ(date palm)の葉が使われていましたが、現在の教会では地域によって入手可能な葉を使います。日本ではしゅろの葉やオリーブの枝が使われることが多いそうです。
パーム油の誤解を解く
パームつながりで、「パーム油で作ったお菓子はトランス脂肪酸があって体に悪い」という話題になりました。しかし、これは実は誤解でした。
パーム油とトランス脂肪酸について:
- パーム油自体は天然の植物油で、もともとトランス脂肪酸はほとんど含まれていません
- トランス脂肪酸が問題になるのは、主に「部分硬化油」という人工的に処理された油脂
- パーム油は常温で固形になりやすい天然の性質を持つため、加工食品でショートニングの代替として使われることが多い
ショートニングの真実
ショートニングについても興味深い変遷がありました:
昔(~2000年代前半):
- 大豆油、菜種油、コーン油などの液体油を部分硬化させて製造
- この過程でトランス脂肪酸が大量に生成される
現在:
- トランス脂肪酸の健康問題が明らかになり、製造方法が変化
- パーム油を主原料とするものが増加
- パーム油は天然で固形化しやすいため、部分硬化の必要が少ない
原材料表示を確認することの重要性
ここで重要な注意点があります。「パーム油ベース=安全」と思い込むのは実は危険なのです:
安全なもの:
- パーム油・パーム核油のみ使用 → トランス脂肪酸はほぼゼロ
注意が必要なもの:
- ショートニング全般 → 現在は多くがパーム油ベースになっているが、まだ一部には部分水素添加油脂を使ったものもあるため、完全にトランス脂肪酸フリーとは限らない
確認方法:
- 原材料表示で「部分硬化油」「部分水素添加油脂」と書いてあればトランス脂肪酸あり
- 「パーム油」「パーム核油」のみならトランス脂肪酸はほぼなし
- 「トランス脂肪酸ゼロ」「水素添加油不使用」「硬化油不使用」の表示があるものを選ぶ
要するに、原材料表示をしっかり確認することが何より大切ということです。「パーム油だから安心」ではなく、具体的に何が使われているかを見極める目を持つことが重要ですね。
東北大学の画期的な研究発見
ここで驚くべき研究結果を知りました。東北大学大学院薬学研究科の松沢厚教授らの研究で、バターのトランス脂肪酸は脳梗塞になる原因となる物質が入っていないことが科学的に証明されていたのです。
研究の重要な発見:
- トランス脂肪酸には「人工型」と「天然型」がある
- 工業的な食品製造過程で生じる「人工型」は細胞死を促進する毒性作用がある
- 乳製品や牛肉などに含まれる「天然型」にはそのような毒性作用がない
- 人工型トランス脂肪酸の毒性は、EPAやDHAで軽減可能
つまり、バターに含まれる天然のトランス脂肪酸は、マーガリンなどの人工的なトランス脂肪酸とは全く性質が異なり、健康リスクがないということです。
グラスフェッドバターの優秀さ
さらに調べると、ニュージーランド産のグラスフェッドバターの素晴らしさも分かりました:
栄養面での優位性:
- オメガ3脂肪酸が通常のバターの約5倍
- リノール酸とリノレン酸の割合が4:1と理想的(厚生労働省推奨値に近い)
- 抗酸化作用の強いカロテン類が豊富
- 共役リノール酸(CLA)が2〜3倍含有
環境面での優位性:
- ニュージーランドの広大で恵まれた自然環境
- 牛が90%以上の時間を屋外で過ごすストレスフリーな環境
- 農地面積の91.8%が牧場・牧草地
私の好きなパン屋さんの取り組み
最近、私がよく通うパン屋さんでも、グラスフェッドバターを使ったパンが登場しました。店主さんに聞くと、「健康を考えるお客様が増えて、材料にもこだわりたくて」とのこと。
お店の名前はパン香房ル・ニド・ワゾーさんです。
福井県鯖江市神明駅前にお越しの際はぜひお立ち寄りください。
グラスフェッドバターを使ったパンは:
- 口当たりが軽やか
- しつこすぎない上品なコク
- パン本来の小麦の風味も引き立つ
物価高の中、コストの高いグラスフェッドバターを使うのは経営的には大変だと思います。でも、こうした品質へのこだわりは確実にお客様に伝わっています。健康志向の方々にとって、「グラスフェッドバター使用」は大きな魅力です。
まとめ
パーム・サンデーの「パーム」から始まった今回の発見の旅。しゅろとパームが同じ植物だということから、パーム油、トランス脂肪酸、そして最終的にはグラスフェッドバターの素晴らしさまで学ぶことができました。
特に東北大学の研究で、天然のトランス脂肪酸(バターなど)と人工のトランス脂肪酸の違いが科学的に証明されていることは、多くの人に知ってもらいたい重要な情報だと思います。
何気ない疑問から始まった学びが、こんなにも広がるとは思いませんでした。毎日の食べ物への見方も、少し変わったような気がします。
品質にこだわったパン屋さんのような存在を、これからも応援していきたいと思います。
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