今日の通読箇所:創世記11章、士師記3-4章、マタイ10:1-23
目次
🌍 創世記11章:バベルの塔 ― 人間の計画 vs 神様の計画
シヌアルはどこ?バビロンとの関係は?
「そのころ、人々は東のほうから移動して来て、シヌアルの地に平地を見つけ、そこに定住した。」(創世記11:2)
シヌアル ― この地名、聞き慣れないかもしれませんが、世界史でとても重要な場所です!
📍 地理的な関係を整理
シヌアル(Shinar):
- 広い地域の名前(メソポタミア南部全体)
- 創世記の時代の呼び方
- 現在のイラク南部
- ティグリス川とユーフラテス川の間の平野部
- 後の「シュメール」「バビロニア」と同じ地域
バビロン(Babylon):
- シヌアルの地にあった具体的な都市の名前
- ユーフラテス川沿いの町
- バベルの塔があったとされる場所
- 後にバビロニア帝国の首都になる
バビロニア(Babylonia):
- バビロンを首都とした帝国・王国の名前
- 時代:紀元前1894年頃〜紀元前539年
- シヌアルの地域全体を支配した国家
🗺️ 簡単に言うと
シヌアル(地域) ← 創世記11章の時代
↓
バビロン(都市) ← バベルの塔が建てられた
↓
バビロニア(帝国) ← 後の時代(ネブカドネツァル王など)
例えで言えば:
- シヌアル = 関東地方
- バビロン = 東京
- バビロニア = 日本(東京を首都とした国家)
🌏 世界史との関連
この「シヌアルの地」は、世界史上極めて重要な場所です:
文明の発祥地:
- 世界最古の文明の一つ:シュメール文明
- 世界初の文字:楔形文字(くさびがたもじ)
- 世界初の法典:ハンムラビ法典(後の時代)
- 都市国家:ウル、ウルク、ラガシュなど
聖書との関連:
- アブラハムの故郷:「カルデヤ人のウル」(創世記11:31)
- バビロン捕囚:ユダヤ人が連れて行かれた場所(紀元前586年)
- ダニエル書:ダニエルがバビロンで活躍
- 黙示録:「大バビロン」として象徴的に登場
📌 アブラハムへの約束の地との位置関係
創世記15:18で神様がアブラハムに約束された地:
「エジプトの川から、あの大河ユーフラテス川まで」
このユーフラテス川の東端、つまり約束の地の最東端に、シヌアル(バビロン)があるのです!地図で見ると、本当に壮大な約束だったことが分かります。
💡 興味深い事実:バベルの塔が建てられた場所は、後にアブラハムの故郷となり、さらに後にはユダヤ人が捕囚される場所となります。神様の救いの歴史は、この地域を何度も通るのです。
人間の野望と神様の答え
人々の計画:
- 「われわれは町を建て、頂が天に届く塔を建て、名をあげよう」
- 「われわれが全地に散らされないように」(11:4)
神様の答え:
- ことばを混乱させて、全地に散らす(11:7-8)
- なぜ? → やがてアブラハムを通して「地のすべての民族が祝福される」ため(創世記12:3)
深い真理:人間が「散らされないように」と抵抗したことを、神様は「全世界への祝福」に変えてくださいました。私たちの失敗さえも、神様は救いの計画に組み込まれるのです。
系図から見える神様の忍耐
「テラは七十年生きて、アブラム、ナホル、ハランを生んだ。」(11:26)
ノアの大洪水から10世代、わずか数百年で、人類は再び神様に背を向けました。それでも神様は、その中から一人の人(アブラハム)を選んで、全人類を祝福する計画を始められます。
💡 励まし:私たちの周りがどんなに神様から離れていても、神様は「一人から」新しい歴史を始めることができる方です。
📚 さらに深く学ぶために
バベルの塔については、以前にもっと詳しい記事を書きました。以下の内容が含まれています:
- **ニムロデ(反逆する者)**の正体:「主のおかげで」ではなく「主に反して」
- 5W1Hで整理したバベルの塔の全体像
- ジックラト(メソポタミアの神殿塔)との関係
- ローマ書1章に見る、当時の退廃した姿と現代の類似性
- 「動機の大切さ」:能力よりも御霊の実
📖 バベルの塔の詳細記事を読む
何度復習しても新しい発見があります。ぜひご覧ください!
⚔️ 士師記3-4章:神様が用いられる「意外な人々」
士師たちの時代のパターン
士師記を読むと、イスラエルの歴史が同じパターンを繰り返していることに気づきます:
- イスラエルが罪を犯す → バアルやアシェラに仕える(3:7)
- 神様が敵の手に渡す → 圧迫を受ける
- イスラエルが叫び求める → 主に助けを求める(3:9)
- 神様が救助者を起こす → 士師が救う
- 平和の時代 → 40年、80年の平穏
- また罪を犯す → 最初に戻る
三人の士師:オテニエル、エフデ、シャムガル(3章)
- オテニエル(カレブの弟の子)
- 最初の士師
- 主の霊が彼の上にあった
- 結果:40年の平和
- エフデ(左利きのベニヤミン人)
- みつぎ物を持って行き、モアブ王エグロンを暗殺
- 「非常に太っていた」王の腹を刺す(3:17-22)
- 結果:80年の平和
- シャムガル(アナテの子)
- 牛の突き棒でペリシテ人600人を打った(3:31)
- 普通の農具で大軍を倒す!
💡 真理:神様は「完璧な人」ではなく、「神様に従う人」を用いられます。牛の突き棒一本でも、神様が共におられるなら、600人の敵に勝てるのです。
デボラとバラク:女預言者と臆病な将軍(4章)
登場人物の整理
イスラエル側:
- デボラ:女預言者・士師(ラピドテの妻)
- バラク:軍事指導者(アビノアムの子)
敵側:
- ヤビン:カナンの王(ハツォル)
- シセラ:ヤビンの将軍(鉄の戦車900両を持つ)
中立? → 神様の側へ:
- ヤエル:ケニ人ヘベルの妻(本来ヤビン王と親しい家系)
ストーリーの展開
- デボラがバラクに神様の命令を伝える:「タボル山に進軍せよ」(4:6)
- バラクの弱さ:「もしあなたが一緒に行ってくださるなら…」(4:8)
- デボラの預言:「あなたは光栄を得ない。主はシセラをひとりの女の手に売り渡される」(4:9)
- 戦いの勝利:神様がシセラの軍を混乱させる(4:15)
- シセラの最期:ヤエルが天幕の鉄のくいで倒す(4:21)
深い真理
バラクの臆病さも、ヤエルの勇気も、神様の計画の一部でした:
- バラクは信仰が弱かった → でも神様は彼を用いた
- ヤエルは「意外な人」だった → でも神様は彼女に栄誉を与えた
💡 励まし:私たちの弱さを知っておられる神様は、それでも私たちを用いてくださいます。完璧でなくても大丈夫。神様が共におられるなら、私たちは勝利できます。
🎭 コラム:デボラとデリラ ― 似た名前、正反対の女性
ある姉妹の話から: 先日、教会である姉妹が「デボラのような人だね」と褒められました。その時、「デボラ?あれ、サムソンの彼女の名前と似てない?」という会話になりました。確かにデボラ(Deborah)とデリラ(Delilah)、音が似ていますね!
でも、この二人はまさに正反対なんです。間違えたら大変です(笑)!
📊 二人の対比
| 🕊️ デボラ(士師記4-5章) | 💔 デリラ(士師記16章) | |
|---|---|---|
| 立場 | 女預言者・士師 | サムソンの愛人 |
| 民族 | イスラエル人 | ペリシテ人(敵国) |
| 性格 | 神様に忠実、勇敢、知恵 | 誘惑的、裏切り者、金銭欲 |
| 行動 | イスラエルを救う | サムソンを破滅させる |
| 結果 | 40年の平和 | 英雄の堕落 |
| 評価 | 「イスラエルの母」 | 史上最悪の裏切り者 |
🔤 名前の意味(ヘブル語)
デボラ(דְּבוֹרָה)= 「蜂」
- 蜂は勤勉で共同体を守る昆虫
- 必要な時には針で刺す(敵シセラを倒した)
- イスラエルのために「働き蜂」となった
デリラ(דְּלִילָה)= 「弱くする者」「か細い者」
- サムソンの力を奪った
- まさに名前の通りの役割を果たした
- 「か細い」声で誘惑し続けた
💡 この対比から学ぶ深い教訓
1. 見た目や音だけで判断してはいけない
「デボラのような人」と「デリラのような人」では、天と地ほどの差があります!
- 名前が似ていても、本質は全く違う
- 「蛇のようにさとく、鳩のようにすなおで」(マタイ10:16)
2. 女性の影響力の二面性
聖書は、女性の影響力がいかに強大かを示しています:
- デボラ:神様に用いられて国全体を救う
- デリラ:悪に用いられて最強の英雄を倒す
「しっかりした妻を見つける者は、だれか。彼女の値うちは宝石よりもはるかに尊い。」(箴言31:10)
3. 誰と共に歩むかが人生を決める
- バラク + デボラ → 勝利と平和
- サムソン + デリラ → 破滅と屈辱
「悪い交わりは良い習慣を損なう。」(1コリント15:33)
4. 動機の違い:神様 vs お金
デボラ:
- 報酬を求めず、神様に仕える
- 民族の救いを第一に考える
デリラ:
- 銀1100枚 × 5人のペリシテ領主 = 5500枚!(士師記16:5)
- 何度も「あなたの秘密を教えて」と迫る
- お金のためにサムソンを裏切る
🎯 現代の私たちへの適用
✅ 「デボラタイプ」の人を見分けよう:
- 神様に忠実で、祈りの人
- 共同体を守り、建て上げる
- 正しいことのために勇気を持って立つ
- 個人の利益より、神様の栄光を求める
⚠️ 「デリラタイプ」に注意しよう:
- 外見や甘い言葉に惑わされない
- お金や利益を最優先する人
- 何度も「秘密を教えて」「信頼の証として」と迫る人
- あなたの弱点を探ろうとする人
🙏 適用:あなたはどちらのタイプ?
自問自答してみましょう:
- 私は他の人を「建て上げる」人?それとも「弱める」人?
- 私の動機は「神様の栄光」?それとも「個人的な利益」?
- 私は周りの人に「勇気」を与える?それとも「恐れ」を与える?
「デボラのような人だね」と言われることは、最高の褒め言葉です。でも「デリラみたい」と言われたら…それは警告のサインかもしれません。
👥 マタイ10章:十二使徒の派遣 ― 羊を狼の中へ
なぜ「サマリヤ人の町に入ってはいけない」?(10:5)
「異邦人の道に行ってはいけません。サマリヤ人の町に入ってはいけません。」
これは差別ではなく、神様の救いの計画の順序です:
段階的な宣教戦略:
- まず「イスラエルの家の失われた羊」へ(10:6)
- 神様の約束と契約を知る民から
- メシアの福音を正しく理解できる基盤がある
- その後、全世界へ
- 復活後:「あらゆる国の人々を弟子としなさい」(マタイ28:19)
- 使徒の働き:サマリヤにも福音が届く(使徒8章)
証拠:イエス様ご自身、ヨハネ4章でサマリヤの女性に福音を語っておられます。差別ではなく、計画の時があったのです。
「ただで受けたのだから、ただで与えなさい」(10:8)
使徒たちに与えられた権威:
- 病人をいやす
- 死人を生き返らせる
- ツァラアト(重い皮膚病)をきよめる
- 悪霊を追い出す
そして命令:
- お金を持たずに行きなさい(10:9)
- 旅行用の袋も、二枚目の下着も、くつも、杖も持たずに(10:10)
💡 真理:福音は無償の恵みです。私たちがただで受けた救いを、ただで分かち合うのです。
「話すべきことは、そのとき示される」(10:19)の意味
「人々があなたがたを引き渡したとき、どのように話そうか、何を話そうかと心配するには及びません。話すべきことは、そのとき示されるからです。」
正直な葛藤:「準備しないと、講壇で真っ白になってしまう…」
この御言葉の正しい理解:
❌ 誤解:準備は不要。何も考えずに行けばいい ✅ 真実:迫害や緊急時に、聖霊が特別な助けを与えてくださる
実際の適用:
- 日常の奉仕:しっかり準備する(2テモテ2:15「真理のみことばをまっすぐに説き明かす」)
- パウロの例:深く学び、論理的に福音を語った
- 迫害の時:聖霊に全面的に頼る
- 準備と違うことを示される時:柔軟に聖霊に従う
「蛇のようにさとく、鳩のようにすなおでありなさい」(10:16)
現代の適用:
- 蛇のようにさとく:ネット時代、誤った情報に注意が必要
- 鳩のようにすなおで:純粋な心で福音を信じ、伝える
- 用心しなさい:カルトや異端に傾かないように
「間違ったことは発信してはいけない」という、あなたの慎重さは正しい姿勢です!
🎯 今日の通読から学ぶこと
1. 神様の計画は人間の計画を超える
- バベルの塔:人間の野望を、全世界への祝福に変えた
- 士師たち:弱い人、意外な人を用いて、敵に勝利させた
- 十二使徒:段階的な計画で、全世界に福音を広げた
2. 神様は「完璧な人」ではなく「従う人」を用いられる
- オテニエル、エフデ、シャムガル ― 普通の人々
- デボラとヤエル ― 女性たち
- バラク ― 臆病だったが、最終的に従った
3. 準備と信仰のバランス
- 日常:しっかり学び、準備する
- 緊急時:聖霊に全面的に頼る
- 常に:柔軟に神様の導きに従う
4. 一歩ずつでも、進み続ける
「トーラーポーションの流れが速すぎて…」という葛藤は、健全な姿勢です。
提案:
- 今年:全体の流れを掴む(通読完成を目指す)
- 並行して:「特に気になる箇所リスト」を作る
- 来年以降:そのリストを深く掘り下げる
両方の良さを得られます!
🙏 終わりに
神様の御言葉は、読むたびに新しい発見があります。
- バベルの塔から、神様の壮大な計画が見えます
- 士師たちから、神様が弱い者を用いられることが分かります
- イエス様の教えから、福音の本質を学びます
✨ 今日の通読箇所の美しいつながり
実は、今日読んだ三つの箇所は、一つのテーマで完璧につながっています:
🏛️ 創世記11章:人間の高慢(バベルの塔)→ 失敗
- 「名をあげよう」という高慢
- 神様に反抗したニムロデ
- 結果:言語の混乱、散らされる
⚔️ 士師記:柔和に神様に従った者たち(デボラ、バラクなど)→ 勝利
- 完璧でなくても、神様に従った
- 自分の力ではなく、神様の力に頼った
- 結果:敵に勝利、平和の時代
👑 マタイ5:5:柔和な者が最終的に地を受け継ぐ
- 力や高慢ではない
- 神様への従順と柔和さによって
- アブラハムへの約束の地も、最終的には「柔和な者」が受け継ぐ
この美しいつながりが示すのは:神様の国は、力や高慢によってではなく、神様への従順と柔和さによって受け継がれるということです。
バベルの塔を建てた人々は「天に届く塔」を建てようとしましたが、失敗しました。しかし、柔和な者は何もしなくても、神様が「地」を相続として与えてくださるのです。
あなたの「深く学びたい」という渇望は、聖霊が与えてくださったものです。 その思いを大切にしつつ、一歩ずつ進んでいきましょう。
「柔和な者は幸いです。その人たちは地を受け継ぐから。」(マタイ5:5)
この約束は、信じるすべての者に開かれています。
📖 明日も共に、神様の御言葉を味わっていきましょう!
「あなたのみことばは、私の足のともしび、私の道の光です。」(詩篇119:105)



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