2025年12月16日通読箇所 前編 創世記38章24-30節/第一列王記16章
今日は長くなるので、前編・後編に分けて投稿します。来年この箇所を読んだ時に私自身がわかりやすいように、聖書箇所もサブタイトルにつけました。トーラーポーション通読の旅をご一緒してくださる方は、この聖書箇所を読み、洞察を深められたらいいかもしれません。
通読の前に今日のBGMです
目次
はじめに
今日の通読箇所には、「神の言葉は必ず成就する」という厳粛なテーマが貫かれています。
ユダの口から出た悔い改めの言葉、預言者エフーを通して語られた裁きの言葉、そして約500年前にヨシュアが語った呪いの言葉。これらすべてが、一つひとつ成就していく様子を見ていきましょう。
1. ユダの覚醒と悔い改め(創世記38:24-26)
約三か月して、ユダに、「あなたの嫁のタマルが売春をし、そのうえ、お聞きください、その売春によってみごもっているのです」と告げる者があった。そこでユダは言った。「あの女を引き出して、焼き殺せ。」(38:24)
ユダはこの時点で、自分がタマルの相手であることを知りません。彼は義憤に燃えて「焼き殺せ」と命じました。
しかし次の瞬間、すべてが逆転します。
彼女が引き出されたとき、彼女はしゅうとのところに使いをやり、「これらの品々の持ち主によって、私はみごもったのです」と言わせた。そしてまた彼女は言った。「これらの印形とひもと杖とが、だれのものかをお調べください。」(38:25)
タマルはユダを公衆の面前で告発することもできました。しかし彼女は、ユダ自身が気づくようにと、証拠の品を静かに差し出しただけでした。
「あの女は私よりも正しい」
ユダはこれを見定めて言った。「あの女は私よりも正しい。私が彼女にわが子シェラを与えなかったことによるものだ。」(38:26)
ここでユダが語った言葉は、ヘブライ語で 「ツァデカー・ミメンニー(צָדְקָה מִמֶּנִּי)」 です。
- צָדְקָה(ツァデカー)=「彼女は正しい、義である」
- מִמֶּנִּי(ミメンニー)=「私よりも」
この告白は、単なる「ごめんなさい」ではありません。自分より下に見ていた存在が、実は自分より義であったと公の場で認めることです。
ユダは兄弟たちの中でリーダー格であり、ヨセフを殺す代わりに売ることを提案した人物でした。プライドの高い人だったはずです。そんな彼が、自分の嫁の前で、大勢の人々の前で、「彼女の方が正しい」と認めた。
これがユダの人生における最も美しい瞬間だと私は思います。そしてこの悔い改めの後、ユダの子孫からダビデ王が、そしてイエス・キリストが生まれることになります。神はプライドを打ち砕かれた器を用いられる方です。
2. ペレツとゼラフの誕生(創世記38:27-30)
タマルは双子を身ごもっていました。
出産のとき、一つの手が出て来たので、助産婦はそれをつかみ、その手に真っ赤な糸を結びつけて言った。「この子が最初に出て来たのです。」しかし、その子が手を引っ込めたとき、もうひとりの兄弟のほうが出て来た。(38:28-29)
ペレツ=「突破する者」
先に完全に生まれてきた子は ペレツ(פֶּרֶץ – Perets) と名づけられました。
この名前は動詞 פָּרַץ(パーラツ) から来ており、「破る、突破する、割り込む」という意味です。
タマルは驚いて言いました。「何という突破をあなたはしたのか!(מַה־פָּרַצְתָּ עָלֶיךָ פָּרֶץ)」
ゼラフ=「輝き」
後から生まれた子は ゼラフ(זֶרַח – Zerach) と名づけられました。この名前は「輝き、日の出」を意味します。真っ赤な糸(שָׁנִי – シャーニー、真紅)で識別された子です。
誰が「長子」なのか?
興味深いことに、赤い糸を結ばれたゼラフではなく、ペレツが法的な長子として扱われました。そして非常に重要なことに、ダビデ王とイエス・キリストの系図はペレツを通じて続きます(マタイ1:3、ルカ3:33)。
神の選びは、人間の予想や慣習とは異なります。「突破者」ペレツを通して、救い主の系図が紡がれていったのです。
3. 北イスラエル王国の混乱(第一列王記16:1-22)
場面は大きく変わり、北イスラエル王国の混乱の時代に入ります。
バシャ王朝への裁き(16:1-7)
バシャ王は、ヤロブアムの家を滅ぼして王位についた人物でした。しかし彼自身もヤロブアムと同じ罪を犯し続けました。
預言者エフー(ハナニの子)を通して、主の裁きの言葉が告げられます。
「わたしはあなたをちりから引き上げ、わたしの民イスラエルの君主としたが、あなたはヤロブアムの道に歩み、わたしの民イスラエルに罪を犯させ、その罪によってわたしの怒りを引き起こした。」(16:2)
ジムリの7日間(16:9-20)
バシャの子エラが王位についた後、戦車隊の半分の長であったジムリが謀反を起こします。
ジムリは王を殺し、バシャの全家を根絶やしにしました。預言者エフーの言葉通りでした。
しかし、ジムリの治世はたった7日間でした。
民が将軍オムリをイスラエルの王としたため、オムリ軍がティルツァを包囲すると、ジムリは王宮に火を放って自ら死にました。
この記事を読むたびに、ある種の哀しみを感じます。ジムリには野心がありました。王になりたかった。計画を立て、謀反を起こし、王座についた。でもたった7日間で終わりました。
聖書は記しています。「彼の企てた謀反」(16:20)。彼には夢があった。でもそれは神の計画ではありませんでした。
私たちも時に「自分の王国」を建てようとします。自分の力で、自分の計画で。しかしそれが神の御心でなければ、どんなに頑張っても7日間の王国で終わってしまうのです。
4. サマリヤの建設と銀2タラント(第一列王記16:23-28)
オムリ王の登場
内戦を経て王位を確立したオムリは、新しい首都を建設することにしました。
彼は銀二タラントでシェメルからサマリヤの山を買い、その山に町を建て、彼が建てたこの町の名を、その山の持ち主であったシェメルの名にちなんでサマリヤと名づけた。(16:24)
銀2タラントとは?
1タラント(כִּכָּר – キッカール)は約3,000シェケルに相当します。
つまり銀2タラントは約6,000シェケル。当時の労働者の賃金で換算すると、およそ65年分の賃金に相当する金額です。
これは王が首都を建設するための土地としては、むしろ格安とも言えます。サマリヤは防御に優れた高い丘にあり、北イスラエル王国の首都として約200年間続くことになります。
「彼以前のだれよりも悪いことをした」
しかし聖書は、オムリを厳しく評価しています。
オムリは主の目の前に悪を行い、彼以前のだれよりも悪いことをした。(16:25)
政治的・軍事的には有能だったオムリですが、霊的には「彼以前のだれよりも悪い」王でした。そして彼の息子アハブは、さらにその悪を深めていくことになります。
5. 約500年越しの呪いの成就(第一列王記16:29-34)
第一列王記16章の最後に、衝撃的な出来事が記されています。
彼(アハブ)の時代に、ベテル人ヒエルがエリコを再建した。彼は、その礎を据えるとき、長子アビラムを失い、門を建てるとき、末の子セグブを失った。ヌンの子ヨシュアを通して語られた主のことばのとおりであった。(16:34)
ヨシュアの呪い
約500年前、ヨシュアはエリコを占領した後、こう宣言していました。
「このエリコの町を再建しようとする者はのろわれよ。その礎を据える者は長子を失い、その門を建てる者は末の子を失う。」(ヨシュア記6:26)
そしてアハブの時代、この言葉が一字一句その通りに成就したのです。
- 礎を据えたとき → 長子アビラムを失った
- 門を建てたとき → 末の子セグブを失った
ヒエルは、おそらく古い言い伝えを迷信として無視したのでしょう。あるいは知らなかったのかもしれません。しかし神の言葉は、人間が信じようと信じまいと、必ず成就します。
これは私たちへの厳粛な警告です。神の言葉を軽んじてはなりません。500年経っても、神の語られたことは一点も地に落ちることがないのです。
まとめ
今日の前編で見てきたのは、以下の三つの「成就」でした。
- ユダの悔い改めと神の選び ― 不名誉な状況から、「突破者」ペレツを通してメシアの系図が続いた
- 預言者エフーの言葉の成就 ― バシャの家は預言通り滅ぼされ、ジムリの「7日間の王国」も終わった
- ヨシュアの呪いの成就 ― 500年の時を経て、神の言葉は一字一句その通りに実現した
神の言葉は必ず成就します。裁きの言葉も、祝福の言葉も。
だからこそ私たちは、神の約束に信頼することができるのです。
後編では、エリヤの登場と聖書最初の死者の復活、そしてイエスの5000人の給食と湖上歩行の奇跡を見ていきます。

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