アハブ家への裁き、イゼベルの血縁の聖絶 第一列王記21章・第二列王記9-10章 

聖書の名言集

聖書にはイゼベルの血縁の聖絶とは書いてないですが、これが単なる政治的粛清ではなく、神の裁きとしての断絶であることが明確だと思います。

イゼベルの血縁が北イスラエルだけでなく南ユダにまで及び、そしてその両方で根絶されたという聖書の記録を、まさに「聖絶」という言葉が的確に表現しています。

ヘブル語では「聖絶」は חֵרֶם(ヘーレム) ですが、この箇所では直接この語は使われていません。しかし、エフーの行動の徹底さ——アハブに属する者を「ひとりも生き残る者がないまでに」(第二列王記10:11)打ち殺した——は、まさにヘーレムの精神と同じでだと受け取られました。

※ここでいう「聖絶」は、ヨシュア記のヘーレム規定というより、
神の預言に基づく王朝断絶の裁きを指している。

アハブ家への裁き―イゼベルの血縁と神の預言の成就

⚔️ アハブ家への裁き

イゼベルの血縁と神の預言の成就 ― 第一列王記21章・第二列王記9-10章

🗺️ イズレエルとナボテの畑 ― 裁きの舞台
地 中 海
ヨルダン川
シドン
イゼベルの出身地
フェニキア
ラモテ・ギルアデ
サマリア
北イスラエルの首都
🏰 イズレエル
アハブの離宮
🍇
ナボテの畑
エルサレム
南ユダの首都
🛢️ エフー油注ぎ
第二列王9:1-6
① ヨラム射殺
ナボテの畑に投棄
第二列王9:24-26
② イゼベル転落死
犬に食われる
第二列王9:33-37
③ アハズヤ(南)殺害
メギドで死亡
第二列王9:27-28
④ 70人の王子斬首
サマリアにて
第二列王10:6-7
進軍ルート
フェニキア(イゼベル出身)
北イスラエル
南ユダ
裁きの場所
📍 ナボテの畑事件 ― すべての裁きの発端

ナボテの畑はイズレエルの王宮に隣接していた。アハブはこの畑を「野菜畑」にしようと欲した(第一列王記21:2)。
ナボテは「主が禁じておられます。先祖の嗣業を売ることはできません」と断り、イゼベルの策略で殺された

⚖️ この罪に対する神の裁き ― 関連聖書箇所一覧
ナボテ殺害事件 第一列王記 21:1-16
エリヤの裁きの預言 第一列王記 21:17-24
アハブの悔い改めと猶予 第一列王記 21:27-29
アハブの死(犬が血をなめる) 第一列王記 22:29-38
エフーへの油注ぎと使命 第二列王記 9:1-10
ヨラム射殺・ナボテの畑に投棄 第二列王記 9:14-26
アハズヤ(南ユダ王)殺害 第二列王記 9:27-29
イゼベルの死(犬に食われる) 第二列王記 9:30-37
70人の王子斬首 第二列王記 10:1-11
アハズヤの親族42人殺害 第二列王記 10:12-14
バアル礼拝者の粛清 第二列王記 10:18-28
アタルヤの暴政(ダビデの子孫虐殺) 第二列王記 11:1-3 / 第二歴代誌 22:10-12
アタルヤの処刑・ヨアシュ即位 第二列王記 11:4-21 / 第二歴代誌 23:1-21

※ナボテ一人の血の罪が、アハブ家全体の滅亡、イゼベルの血縁の断絶、そしてバアル礼拝の根絶へとつながった。神は無実の者の血を忘れず、必ず報いられる。

👑 アハブ家の系図とイゼベルの血縁
👿 イゼベルの影響 ― 北も南も汚染
北イスラエルへ
バアル礼拝の導入
主の預言者の虐殺
ナボテ殺害の首謀
南ユダへ
娘アタルヤを嫁がせる
ユダ王家にバアル礼拝導入
ダビデの血筋を絶やそうとする
🔴 北イスラエル王国
エトバアル
シドン(フェニキア)の王 / バアルの祭司
↓ 娘
アハブ
北イスラエル第7代王
戦死、血を犬がなめる(第一列王22:38)
💒
イゼベル
王妃 / バアル礼拝推進者
窓から転落、犬に食われる(第二列王9:33-35)
↓ 子供たち
アハズヤ(北)
北イスラエル第8代王 / アハブの長男
落下事故で死亡(第二列王1章)
ヨラム(北)
北イスラエル第9代王 / アハブの子
エフーに射殺、ナボテの畑に投棄(第二列王9:24-26)
アタルヤ
アハブとイゼベルの娘
→ 南ユダのヨラム王に嫁ぐ
サマリアの70人の子ら
アハブの子孫70人全員が斬首される(第二列王10:1-7)
🔵 南ユダ王国
ヨシャパテ
南ユダ第4代王 / 善王
⚠️ 息子をアハブの娘と結婚させる失策
↓ 息子
ヨラム(南)
南ユダ第5代王
腸の病で死亡(第二歴代21:18-19)
💒
アタルヤ
イゼベルの娘
クーデターで処刑(第二列王11:16)
↓ 息子(イゼベルの孫)
アハズヤ(南)
南ユダ第6代王 / イゼベルの孫
エフーに殺される(第二列王9:27-28)
※ちょうど北のヨラムを見舞い中に遭遇
「アハズヤの滅亡は神から出たこと」(第二歴代22:7)
アタルヤの暴挙
息子アハズヤの死後、ダビデの子孫を皆殺しにして自ら王となる(6年間)
→ ヨアシュのみが隠されて生き残り、ダビデの血筋が守られた
「わたしはアハブの家をネバテの子ヤロブアムの家のようにし、アヒヤの子バシャの家のようにする。犬がイズレエルの地所でイゼベルを食らい、だれも彼女を葬る者がいない。」 ― 第二列王記 9:9-10
📜 エリヤの預言とその成就
預言(第一列王記21章) 対象者 成就(第二列王記9-10章) 成就の詳細
「犬どもがナボテの血をなめたその場所で、犬どもがあなたの血をなめる」 21:19 アハブ 戦場で死亡、サマリアの池で血を洗い流す時に犬がなめた 第一列王22:38 約3年後に成就。アハブは悔い改めたため、彼の代ではなく子の代に災いが来ると一度は延期された(21:29)
「犬がイズレエルの地所でイゼベルを食らう。だれも彼女を葬る者がいない」 21:23 イゼベル 窓から転落後、犬に食われて頭蓋骨・両足・両手首しか残らなかった 第二列王9:35-37 約14年後に成就。まさにイズレエルで、預言の通りに実現
「アハブに属する者でイスラエルに残っている者は、小わっぱから奴隷まで断ち滅ぼす」 21:21 アハブの子孫 サマリアの70人の子ら全員斬首、アハブの家に属する者すべて殺害 第二列王10:7,11 エフーによる徹底的な粛清。血縁者・親しい者・祭司まで全滅
「アハブの家をヤロブアムの家、バシャの家のようにする」 21:22 アハブ王朝 アハブの王朝は完全に断絶。ヨラムで終焉 第二列王10:17 ヤロブアム家もバシャ家も子孫を残さず断絶した(第一列王15:29、16:11-12)。同じ運命がアハブ家にも
「だから知れ。【主】がアハブの家について告げられた【主】のことばは一つも地に落ちないことを。【主】は、そのしもべエリヤによってお告げになったことをなされたのだ。」 ― 第二列王記 10:10
出来事の時系列
約BC 874年
アハブがイスラエル王となる。イゼベルと結婚し、バアル礼拝がイスラエルに広まる
約BC 864年
ナボテ殺害事件 ― イゼベルがナボテを偽証で殺害。エリヤが裁きの預言を語る
約BC 853年
アハブがラモテ・ギルアデの戦いで戦死。犬が血をなめる(預言成就①)
約BC 852年
アハズヤ(北)が王となるも、1年足らずで事故死
約BC 852-841年
ヨラム(北)がイスラエル王として治世。イゼベルは王母として影響力を維持
BC 841年 ― 裁きの日
エフーの革命
・ラモテ・ギルアデで油注がれる
・イズレエルへ進軍
・ヨラム(北)をナボテの畑で射殺
・アハズヤ(南)も殺害
・イゼベル転落死、犬に食われる
・サマリアで70人の王子を処刑
・バアル礼拝者を一掃
BC 841-835年
アタルヤ(イゼベルの娘)が南ユダで暴政。ダビデの子孫を皆殺しにしようとする
BC 835年
アタルヤ処刑。ヨアシュが王となり、ダビデの血筋が守られる(預言成就・完結)
💡 この出来事から学ぶこと
1. 神の言葉は必ず成就する

エリヤの預言から約14年後、場所も状況も細部まで預言通りに実現した。神は忘れておられない。

2. 罪の影響は世代を超える

イゼベルの罪は北イスラエルだけでなく、娘アタルヤを通じて南ユダまで汚染した。悪い同盟は子孫に災いをもたらす。

3. 神はダビデの契約を守られる

アタルヤがダビデの血筋を断とうとしても、ヨアシュが守られた。メシアへの系図は絶えなかった。
(第二列王記 11:1-3 / 第二歴代誌 22:10-12)

4. 部分的な従順は真の従順ではない

エフーはバアルを滅ぼしたが、金の子牛はそのまま残した。神は心を尽くした従順を求めておられる。

📖 関連聖書箇所:第一列王記16:29-33, 18-19章, 21章 / 第二列王記9-11章 / 第二歴代誌21-22章

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