今日の通読 原語比較表 2025年12月5日 創世記31章25節から32章3節 第二サムエル18章19章 マタイ28章  

通読用参考図解

「火を呼びくだし、雨を降らしし エリヤも我と同じ人なり」

この聖歌が歌うように、聖書に登場する人物たちは、遠い神話の住人ではありません。私たちと同じ人間が、同じ地球上で、神様と共に歩んだ歴史的事実が聖書には記されています。

シオンの丘、モリヤの山、ギホンの泉 ― これらは今もイスラエルに存在する実在の場所です。今日の聖書通読箇所に登場する場面もです。

この図解を通して、聖書の舞台、原語、人物を少しでも身近に感じていただけたら嬉しいです。知らなかったことを知り、分からなかったことが分かり、疑問が解決する ― そんな小さな発見が、聖書を開く楽しみにつながりますように。

今日の通読 原語比較表
📜
創世記31:25-32:3 ヘブライ語・アラム語
גַּלְעֵד Gal’ed(ガルエド) ガルエデ ヘブライ語

意味

「証拠の石塚」 ― ヤコブがヘブライ語で名付けた

語の構成

גַּל(ガル) 石塚、石の山
עֵד(エド) 証拠、証人
「この石塚は、きょう私とあなたとの間の証拠である」(31:48)
יְגַר שָׂהֲדוּתָא Yegar Sahadutha エガル・サハドタ アラム語

意味

「証拠の石塚」 ― ラバンがアラム語で名付けた(ガルエデと同じ意味)

ラバンはハラン(メソポタミア)出身のためアラム語を話した。同じ意味を異なる言語で呼んだことは、ヤコブがもはやラバンの世界ではなく、約束の地へ向かうヘブライ人であることを示している。
מִצְפָּה Mitspah(ミツパ) ミツパ ヘブライ語

意味

「見張りの場所」「望楼」

語根

צָפָה(ツァファー) 見張る、監視する、見渡す
「われわれが互いに目が届かない所にいるとき、主が私とあなたとの間の見張りをされるように」(31:49)
ラバンの本来の意図は警告的なニュアンス(「神が監視しているから契約を破るな」)だったが、逆説的に「人間の目が届かない所でも、神の目は届いている」という深い真理を語っている。
פַּחַד יִצְחָק Pahad Yitschaq イサクの恐れる方 ヘブライ語

意味

「イサクの恐れる方」 ― 神の称号として使用

語の構成

פַּחַד(パハド) 恐れ、畏怖(一部学者は「守護者」の意味も指摘)
יִצְחָק(イツハク) イサク
「もし、私の父の神、アブラハムの神、イサクの恐れる方が、私についておられなかったなら…」(31:42)
מַחֲנָיִם Machanayim(マハナイム) マハナイム ヘブライ語

意味

「二つの陣営」 ― מַחֲנֶה(マハネー)の双数形

文法解説

מַחֲנֶה(マハネー) 陣営(単数形)
־ַיִם(-ayim) 双数語尾(二つのものを表す)
「ここは神の陣営だ」(32:2)
ヤコブは自分の陣営と神の陣営、二つの陣営が共にあることを悟った。この場所は後にダビデがアブシャロムの反乱から逃れた場所でもある(Ⅱサムエル17:24)。
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第二サムエル18-19章 ヘブライ語
אַבְשָׁלוֹם Avshalom(アブシャロム) アブシャロム ヘブライ語

意味

「父は平和」「平和の父」

語の構成

אָב(アヴ)
שָׁלוֹם(シャローム) 平和
皮肉なことに「平和の父」という名を持つ者が、父に反逆し、イスラエルに内乱をもたらした。名前と行動の乖離が悲劇性を深めている。
שַׁעַר Sha’ar(シャアル) ヘブライ語

意味

「門」 ― 古代イスラエルでは裁判、商取引、公的な場所

「それで、王は立って、門のところにすわった」(19:8)
「門に座る」ことは王として、裁判官として、民の前に出ることを意味した。息子を失った悲しみの中でも、ダビデは王としての責任を果たすために立ち上がった。
מְפִיבֹשֶׁת Mephiboshet(メフィボシェト) メフィボシェテ ヘブライ語

意味の諸説

「恥を滅ぼす者」 または 「バアルの口から」(元の名メリブ・バアルの変形)

元の名は「メリブ・バアル」(Ⅰ歴代8:34)で「バアルの戦士」の意。後に「バアル」が「ボシェト(恥)」に置き換えられた。サウルの孫でありながら、ダビデに忠実だった真実な人物。
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マタイ28章 ギリシャ語
χαίρετε chairete(カイレテ) おはよう/喜びなさい ギリシャ語

意味

「喜びなさい」「喜べ」 ― 日常的な挨拶としても使用された

文法解説

χαίρω(カイロー) 喜ぶ(動詞の原形)
-ετε(-エテ) 命令法・二人称複数語尾
「イエスが彼女たちに出会って、『おはよう』と言われた」(28:9)
復活された主が恐れと混乱の中にいた女たちに最初に言われた言葉が「喜べ」だった。難しい神学的説明ではなく、ただ「喜べ」と。
ἐξουσία exousia(エクスーシア) 権威 ギリシャ語

意味

「権威」「権能」「力」 ― 正当な権限を伴う力

関連語との比較

ἐξουσία(エクスーシア) 権威(正当性を伴う力)
δύναμις(デュナミス) 力(能力・パワー)
「わたしには天においても、地においても、いっさいの権威が与えられています」(28:18)
πάσας τὰς ἡμέρας pasas tas hēmeras いつも/すべての日々 ギリシャ語

意味

「すべての日々」「毎日」「いつも」

語の構成

πᾶς(パース) すべての、あらゆる
ἡμέρα(ヘーメラ)
「見よ。わたしは、世の終わりまで、いつも、あなたがたとともにいます」(28:20)
「いつも」は「すべての日々において」という意味。良い日も悪い日も、自信がある時もない時も、すべての日において主は共にいてくださる。

📊 ガルエデとエガル・サハドタの比較

言語 名称 名付けた人 意味
ヘブライ語 גַּלְעֵד
ガルエデ
ヤコブ 証拠の石塚
アラム語 יְגַר שָׂהֲדוּתָא
エガル・サハドタ
ラバン 証拠の石塚(同じ意味)

📝 今日の原語から見えるテーマ

今日の三箇所には、「神は見ておられる」というテーマが原語レベルで貫かれています。

ミツパ(見張りの場所)— 人間の目が届かない所でも、神の目は届いている。
マハナイム(二つの陣営)— 神の陣営が私たちと共にある。
カイレテ(喜べ)— 復活の主は恐れる者に「喜べ」と語りかける。
パサス・タス・ヘーメラス(すべての日々)— 主はいつも、すべての日において共にいてくださる。

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