2026年1月13日 聖書通読:出エジプト3章、歴代誌上26-27章、ルカ3:21-38
今日の通読箇所には、三つの共通したテーマがあります。「神は弱い者と共におられる」「失敗からの回復がある」「無名の忠実さが救済史を支える」。出エジプト、歴代誌、ルカ福音書を通して、この恵みを見ていきましょう。
第一部:燃えない柴と神の御名
出エジプト記3章
シナイ山の風景 ─ 荒野の現実
モーセは80歳。かつてエジプトの王子として育ち、同胞を救おうとして失敗し、ミデヤンの荒野で40年間羊を飼っていました。
「ホレブ」とはシナイ山の別名です。実際にシナイ山を訪れると、「緑の牧場」のイメージとは程遠い、岩だらけの急斜面が広がっています。モーセは40年間、このような厳しい土地で羊飼いとして過ごしていたのです。
燃えない柴 ─ 神の臨在の象徴
「すると主の使いが彼に現れた。柴の中の火の炎の中であった。よく見ると、火で燃えていたのに柴は焼け尽きなかった。」(出エジプト3:2)
燃えているのに燃え尽きない柴。これは単なる奇跡ではなく、深い神学的意味を持っています。
二つの「火」の対比 ─ 富田慎吾牧師の洞察
富田慎吾牧師は、この箇所を「二つの火の対比」として説明されています。
モーセ自身の火(40歳の時)
自分の力、情熱、野心でイスラエルを救おうとした。しかしそれは燃え尽きる火でした。エジプト人を殺し、逃亡し、40年間羊飼いとして過ごすことになった。
神の火(80歳の時)
柴は燃えているのに燃え尽きない。これは神ご自身の炎であり、人間のエネルギーとは根本的に違うものです。
富田牧師の言葉:
「私たちの肉は燃え尽きます。私たちの努力や私たちの性質っていうのは燃え尽きるんです。しかし、主ご自身の炎は消えることのない火であることを感謝します。」
私たちが自分の力で頑張ろうとする火は必ず燃え尽きる。でも、神の愛、神の臨在という火は決して消えない。モーセは「自分は何者でもない」と空っぽになった場所で、この燃え尽きない火に出会い、「わたしはある」という方のカボド(栄光・重み)を受け取ったのです。
神は「消費する火」
申命記4:24は「あなたの神、主は焼き尽くす火」と語ります。聖なる神に罪深い人間が近づけば、本来なら焼き尽くされるはずです。しかしこの柴は燃え尽きなかった。ここに恵みがあります。
受肉の予表として
やがて神の火が人間の肉体に宿る時が来ます。聖霊がマリアの上に臨み、いと高き方の力が彼女を覆いました(ルカ1:35)。神の火が処女の胎に宿った。それでもマリアは焼き尽くされなかった。
モーセが見た柴は、神が人と共に住むことの「可能性」を示していました。マリアの胎で、それが「現実」になったのです。そして今、私たちの内に聖霊が住んでおられます。私たちも「燃えない柴」——神の火を内に持ちながら、滅ぼされることなく生きている。これは驚くべき恵みです。
「わたしはある」─ 神の御名の啓示
「神はモーセに仰せられた。『わたしは、「わたしはある」という者である。』」(出エジプト3:14)
ヘブライ語で「אֶהְיֶה אֲשֶׁר אֶהְיֶה」(エフイェー・アシェル・エフイェー)。この名前には深い意味が込められています。
存在の絶対性:他の何かに依存せず、自ら存在する方
自己充足性:何も欠けておらず、完全な方
契約的忠実さ:「あなたと共にあり続ける」という約束
「アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神」
神はここで「イスラエルの神」とは言わず、「アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神」と名乗られました(3:6, 15, 16)。この時点ではまだ「イスラエル」という民族的アイデンティティが確立されていませんでした。だから神は、彼らの「父祖」との契約関係を思い起こさせ、「あなたたちは誰の子孫か」「わたしはあなたたちの先祖と約束を交わした神だ」ということを示されたのです。
「わたしは彼らの痛みを知っている」
「わたしは、エジプトにいるわたしの民の悩みを確かに見、追い使う者の前の彼らの叫びを聞いた。わたしは彼らの痛みを知っている。」(出エジプト3:7)
ヘブライ語で「知る」(יָדַע ヤーダ)は、単なる情報としての認識ではなく、深い関わり、親密な理解を意味します。神は頭で「知っている」のではなく、心で「共に感じている」のです。400年の沈黙の後、神が「今、行け」と言われる。神は沈黙の間も「見て」「聞いて」「知って」おられました。
「私はいったい何者でしょう」
モーセの「私はいったい何者でしょう」という問いに、神は「わたしはあなたとともにいる」と答えました(3:11-12)。大切なのは「私は何者か」ではなく「誰と共にいるか」。モーセは80歳の羊飼い、言葉も上手くない。でも神は「わたしがあなたを遣わすのだ」と言われました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第二部:門衛と軍団の組分け
歴代誌上26-27章
コラ人と「アサフ族」の関係
「門衛の組分け。コラ人ではアサフ族のコレの子メシェレムヤ。」(歴代誌上26:1)
この箇所を読むと、「コラ人」と「アサフ族」が同じグループのように見えます。しかし、賛美者として有名なアサフ(詩篇50, 73-83篇の作者)はゲルション族であり、コラはケハテ族です。
結論:ここでの「アサフ」は賛美者アサフとは別人物です。出エジプト6:24に「コラの子は、アセル、エルカナ、アビアサフ」とあり、この「エビアサフ(אֲבִיאָסָף)」が略されて「アサフ」と呼ばれた可能性が高いのです。
レビ族の三氏族と役割
レビには三人の息子がいて、それぞれの子孫が異なる役割を担いました。
| 氏族 | 幕屋での役割 | 代表的人物 |
| ゲルション族 | 幕、覆いの運搬 | 賛美者アサフ |
| ケハテ族 | 契約の箱、聖なる器具 | モーセ、アロン、ヘマン、コラ |
| メラリ族 | 板、柱、台座の運搬 | 賛美者エタン |
コラの子孫 ─ 反逆者の子らの回復
コラは民数記16章でモーセとアロンに反逆し、地に飲み込まれて死にました。しかし民数記26:11には「コラの子たちは死ななかった」と記されています。
そしてその子孫から、サムエル(預言者・士師)、ヘマン(サムエルの孫、賛美者の筆頭)、神殿の門衛たち、そして詩篇42-49, 84-85, 87-88篇の作者たちが出ました。
反逆者の子孫が、神殿賛美の中心に立ち、主の門を守る者となった。これは神の恵みによる回復の証しです。
オベデ・エドム ─ 祝福された門衛
26:4-5には「神が彼を祝福されたからである」とあります。このオベデ・エドムは、契約の箱を三か月間預かった「ガテ人オベデ・エドム」(Ⅱサムエル6:10-11)と同一人物と考えられています。子ども8人、孫たちと合わせて62人もの勇士がいたと記されています。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第三部:イエスの系図と無名の信仰者たち
ルカ3:21-38
イエスのバプテスマ ─ 天からの承認
「天から声がした。『あなたは、わたしの愛する子、わたしはあなたを喜ぶ。』」(ルカ3:22)
出エジプト3章でモーセは「私はいったい何者でしょう」と自分のアイデンティティを問いました。しかしイエスは、天からの声によって「あなたはわたしの愛する子」とアイデンティティを宣言されました。私たちも「私は何者か」と問う時があります。答えは、自分の中にあるのではなく、神がどう呼んでくださるかにあります。
ルカの系図の特徴 ─ アダムまで遡る
マタイの系図はアブラハムから始まりますが、ルカの系図はアダムまで遡ります。ルカは異邦人読者を意識して、イエスが「全人類の救い主」であることを示しました。最後の「このアダムは神の子である」(3:38)という言葉は、イエスご自身が「神の子」であることへの布石になっています。
系図の中の著名人 ─ ゾロバベル
ルカ3:27のゾロバベルは、バビロン捕囚から帰還して神殿を再建した指導者です。ゼカリヤ4:6で神は彼に語られました。「権力によらず、能力によらず、わたしの霊によって」。神の救済の業は、人間の力ではなく、神の霊によって成し遂げられるのです。
系図の中の「知らない人々」
系図を読むと、知らない名前の方がはるかに多いことに気づきます。マタテ、レビ、メルキ、ヤンナイ、コサム、エルマダム…彼らが何をした人か、聖書は何も教えてくれません。
でも彼らは確かに:信仰を次の世代に伝え、家庭を守り、子どもを育て、アブラハムの神を礼拝し続けた。それだけで十分でした。彼らの「忠実な普通の人生」が、メシアの到来を可能にしたのです。
神の救済史は、目に見える「有名な働き」だけでなく、無名の忠実さの積み重ねで織りなされています。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今日の適用
今日の三つの箇所は、一つのメッセージでつながっています。
燃えない柴:自分の火は燃え尽きるが、神の火は決して消えない
コラの子孫:失敗した家系からも回復と新しい使命が与えられる
無名の信仰者たち:忠実に生きることが救済史の一部となる
私たちの働きも、歴史に名を残すものではないかもしれません。しかし、忠実に信仰を生き、次の世代に伝えるなら、それは神の救済史の一部となります。
40歳のモーセのように自分の力で燃え尽きるのではなく、80歳のモーセのように「空っぽ」になった場所で神の火に出会い、その火に燃やされて歩んでいきましょう。
図解:レビ族の三氏族と役割
↓ 下に図解を貼り付けてください ↓
─────────────────────────────
聖書の名言集|友喜
📜 レビ族の三氏族と役割
ゲルション・ケハテ・メラリの系統と奉仕の包括的系図
民数記3:25-26, 4:24-26
-
アサフ – 賛美者
歴代誌上6:39-43、詩篇50, 73-83篇
民数記3:23
民数記3:31, 4:4-15
-
モーセ・アロン
出エジプト6:18-20 -
ヘマン – 賛美者(中央)
歴代誌上6:33-38、詩篇88篇 -
コラ – 反逆者
民数記16章 -
コラの子ら – 詩篇作者
詩篇42-49, 84-85, 87-88篇
民数記3:29
民数記3:36-37, 4:31-33
-
エタン(エドトン) – 賛美者
歴代誌上6:44-47、詩篇89篇
民数記3:35
歴代誌上26:1に「コラ人ではアサフ族の」という記述があり、混乱を招きやすい箇所です。
これは出エジプト6:24に登場するエビアサフ(אֲבִיאָסָף)の略称と考えられています。
コラの系譜(ケハテ族):
| 項目 | 賛美者アサフ | 門衛のアサフ(エビアサフ) |
|---|---|---|
| 氏族 | ゲルション族 | ケハテ族(コラの子孫) |
| 役割 | 賛美・歌 | 門衛 |
| 聖書箇所 | 歴代誌上6:39-43、16:5 | 歴代誌上26:1、出エジプト6:24 |
| 遺産 | 詩篇50, 73-83篇 | 神殿の門を守る |
歴代誌上6:31-48、15:16-19参照。レビの三氏族すべてから賛美者が立てられました。
「預言する」(王の指揮下)
「王の先見者」「角笛を上げる」
「主をほめたたえ賛美しつつ預言」
| 門の方角 | 担当者 | 氏族 | 人数 |
|---|---|---|---|
| 東門(正門) | シェレムヤ、ゼカリヤ | コラ人 | 毎日6人 |
| 北門 | ゼカリヤ | コラ人 | 毎日4人 |
| 南門 | オベデ・エドム | コラ人 | 毎日4人 |
| 倉 | オベデ・エドムの子ら | コラ人 | 2人ずつ |
| 西門・パルバル | シュピム、ホサ | メラリ族 | 大路4人、前庭2人 |
─────────────────────────────
聖書の名言集|友喜

コメント